LIFE LIKE BLUE

Diary Log-2003-10

10月29日

眠たい。

山田悠介(という作家の評価)。酷い。らしい。誰も褒めてない。褒めている人も「皆さんすごいけなされてますが、私はすごく好きです〜!泣きました!」みたいな説得力のない褒め方。『リアル鬼ごっこ』というホラー小説でデビューして、宣伝や書評で大絶賛を受けたらしいのですが、読んだ人間はことごとく☆ひとつ。劣化版バトルロワイアルで小学生か中学生並みの文章力で主人公が魅力なくて情景描写が全くなくて西暦3000年が舞台だけど現代と全然変わらなくてそのくせ「佐藤探知機」なる秘密道具が出てきて王様がいてじいがいるらしい。面白そう!ここまでけなされてると返って読んでみたくなりますなあ。もちろん金を払う気はないですが。

今日はバイトで一日旗振り。疲れた。寝ます。

10月28日

ゼミの友人と院生の方たちとで呑みました。もちろん野郎のみです。隣で男女比が2:8くらいのゼミコンをやっていましたが、むしろ、気兼ねなくキモい話を出来る今の環境が意外と好きだったりします。

リドリー・スコット/『ハンニバル』。なかなか言葉を選ぶのが難しいですが、スゲェ作品でした。直前に観た『レッド・ドラゴン』も良質の刑事映画に仕上がっていましたが、こちらに圧倒され過ぎてよく覚えてません。しかし、観た順番も『羊たちの沈黙』→『レッド〜』→『ハンニバル』と、製作も時間軸もバラバラですな。(以下、多少のネタバレ)

全体的にリドリー・スコットらしいゴシック趣味な感じに仕上がってますが、『羊たちの沈黙』と『レッド・ドラゴン』があくまで刑事映画の域をキープしているのに対して、こちらはすでに怪奇映画というか、ある種の風格すら感じさせます。やはり目玉はゲイリー・オールドマン扮する富豪のメイスン・ヴァージャーと、レイ・リオッタ扮するクレンドラー氏ですか。ヴァージャーの顔は、もはやどの辺がゲイリーなのかよく分からないほどグチャグチャになってましたが、あの奇怪な演技はやはり彼だなあ。ゲイリーのような顔で演技する人間を、惜しげもなく特殊メイクしたのはすごい。そして何といっても、トドメにやってきたクレンドラー脳。噂には聞いていたし、実際グロい映画は結構観たけれど、これは徹夜明けの頭には結構キました。開くのはともかく、本人に食べさせるとは。あと5回くらい観たら笑えるかも。リドリーは薄い皮一枚で隠してますが、かなりのグロテスク趣味ですなあ。

この作品、どこのレビューを見ても「グロすぎ」とか「単なる下品映画」などとこき下ろされてますが、あれだけのモノを見せられたらそりゃあ引きますわな。個人的には、映画という作品媒体で、それだけの衝撃を与えたというのは純粋に凄いことだと思いますが。あまりに凄い作品というのは嫌悪や反感とともに評価される、という話を聞いたことがあります。まあこれに関しては単にグロいだけかもしれませんが。もうね、レビューで書かれてる「レクターのプラトニックな愛が云々」とか「中身がない」とか「精神的な恐怖感に欠ける」とか。全部間違ってる。笑えよ!趣味が悪いのなんて分かりきってるんだから。『エイリアン』を作った監督ですぞ。みんな何か勘違いしてるのでは?「人食い豚」とか「奇形」とか「脳みそ晩餐会」とか、もう笑うしかないでしょう?リドリーはやっぱり天才だ!

それとは別の次元で気になったのが、オープニングのタイトルバック。カッコイイ!監視カメラの映像とフィレンツェの景観とハトの接写をノイジーにミックスした映像ですが、ハンス・ジマーの悲壮で静かな音楽と絶妙に合ってました。カイル・クーパーみたいな感じだったけど、エンドロールではDigiscopeとかいう会社表記だったのでたぶん別でしょう。『セブン』以降こういう感じのクレジットは凄い勢いで普及しました。カイル・クーパーは大作からB級まで様々な仕事をこなすので好きです。どんな場(作品)にあっても自分の色を出せるのって凄いと思いますね。

少し話がずれましたが、これを観たおかげでどうやら演劇のアートフィルムのほうのイメージも何となく形になってきました。常に原動力は他人の仕事。

と、まあ映画に関しては何時間でも何文字でもいけるのですが、それが他の領域に全く生かせないのが弱点。毎回長くてすみませんね。

10月27日

東京から帰ってきたばかり。久しぶりの都会は眩暈がするほど疲れました。あと、都会に出たのに映画を観なかったことなんて初めてです。

東京へ行ったのは、親父の知り合いの知り合いの方に会うため。元々放送業界など20社以上を渡り歩いてきた方で、就活についてのお話を聞いてきました。さすがに広告業界大手のJ.W.thompsonFULLHOUSEといった企業勤務を経験しているだけあって、色々面白いお話を聞くことが出来ました。ただ、提示された、「業界でやっていくのに必要な資質」に非常に共感できたのに、僕のお先が全く定まらないのは、ひとえに僕の積極性が足りないからだということに(薄々感づいてはいましたが)改めて思い知らされました。自己PRとかって本当に苦手なんですよね。謙虚なんて何の特にもならんのです。はあ…

その後はひたすら演劇用の素材集め。スーツ姿で西新宿のビル街を、代々木の路地裏をカメラを回しながら歩き回ってきました。あー…皆が見てる。キツイ。演出家がウスノロなので、曲も方向性も見えないままひたすら東京の景観を収集。前回、前々回の仕事は、自分にとっては色々眼から鱗、というか技術革新的な成果を得られたので、何も方向性が見えない現在はまさに暗中模索。撮ったはいいけれどそれをどうするかは全く見えてきません。乗らねえなあ…。とりあえず、真顔で「青春」とか言うのはやめろ

CALM/「1996 CALM before the dawn」。最新作「Ancient future」に比べると音の一つ一つがハッキリしていて、どちらかというと別名義の「OrganLanguage」に近い感じ。「Ancient〜」はふわふわ、「1996〜」はきりきり。どちらも好きだけど、前者の方が音域が広くなっていて明るい感じでした。

菅野よう子/「be Human」。「攻殻機動隊SAC」のサントラ2弾。タチコマ追悼というだけあって、ロックな印象が強かった前作に比べると、ほのぼのした仕上がり。この人はホントなんでも出来るなあ。あと、Vo.のスコット・マシューの声は天才的に上手い。

日本シリーズ。現在は5-1でダイエー。結果云々よりも最終戦をテレビ東京でやるということに驚き。地方の人見れねーじゃん。上手くやったなあテレ東。

  

10月25日

あー…なんか激しく無気力。体が重い。頭も重い。ダリー。

さて、今日は「TEXHNOLIZE」サントラ購入、同じくDVD死卷購入、[LASTEXELE」4巻購入と散財ラッシュ。さらに「BLAME!」の画集にDVD発売と、さらに欲しいものは尽きないのですが、こちらは田舎書店では手に入りませんでした。チクショウ。アマゾンで注文したら一ヶ月先まで到着しません。したらしたで破産ですが。

『天井桟敷の人々』観終わりました。(以下、多少のネタバレを含みます)

全部で3時間、気分がアンダーなんで半分死にかけながら観ました。しかし、戦時下とは思えないほど陽気で丁寧で滑稽な映画でした。もっと暗いものを想像していたのですが、とにかく人間の生き生きとした感情やエネルギーに溢れている。もちろんドロドロとした欲望や嫉妬や激情も含めて。むしろ、占領下という感情が抑圧された状況下だからこそ出せる力なのかと思います。まあ、細かいことは置いておいて、個人的には主人公のジャン・ルイ・バロー扮するバチストはプロの芸人のくせに舞台を放っぽりだして昔の女に会いに行ったりして、何かいけ好かない野郎でした。この根性ナシが!むしろ破天荒な恋敵役のピエール・ブラッスールや悪党ラスネール役のマルセル・エランに「侠」を感じます。特にラスネールは、この映画の中でも群を抜いて己というものを持っていてかっこいいです。「俺は絶対に自分を信じている。盗みも殺しもいとわぬ俺の行く道は一筋、やがては飛ぶ首をまっすぐ立て、闊歩するのだ」

このラスネールという人物に表されているように、この映画はどこまでも自由というものを追求しています。ラスネール曰く「誰も愛さない絶対の孤独。誰からも愛されない絶対の自由」。映画の冒頭で発せられるこの台詞が、この映画全体を物語っています。恋愛をする自由と、それによって自由でなくなるという矛盾。それは、ラスト、カーニバルの群集によって身動きが取れなくなり、去ってゆくカザリスと引き離されるバチストの表情が全てを物語っています。自由を歌い上げた人々は様々な理由からそれを奪われ、苦悩する。それこそが自由を奪われた当時のフランスの、この映画で丹念に描かれたことではないか、と。

ちなみに、題名の「天井桟敷」とは、最も粗末で舞台から遠く離れた席のこと。しかし、この席でひしめき合いながら歓声を送っている大衆が、この映画の中で最も純粋に劇を楽しんでいました。本来映画や演劇ってこういうもんなんだなあ、とか感じたり。

役者の名前とかを確認するために、ネットの映画批評サイトを漂ってみたら、いかにも頭悪そうな女子高生が頭悪そうな書き方をしていました。しかし内容の捉え方は正確だし、映画史に関する知識も基本は持っているし、何より古典の鑑賞量が半端じゃない。僕もまだまだだと痛感させられました。

10月24日

大学の演劇サークルの新人講演を見に行きました。僕が仕事をしている連中とは、とりあえず現在は別団体です。残念ながら、控えめに見ても面白いとは言いがたかったです。というか、つまらん。せめてネタに出来ればまだ面白いものの、全体的に満遍なく薄味なので、どう表現していいかわかりかねますな。例えるなら、水で薄めたコーンポタージュというか、チョーさんのいないドリフというか。分かり辛いですね。

ひたすらひとつの部屋を舞台にダラダラした人達がダラダラとコントみたいな会話をしているだけなんですが、ツッコミどころも滑ってるし、メリハリもないし、いわゆるヤマなしイミなしオチなしというか。そっちの意味ではなく。

以前、「見た限りは楽しむ努力をせよ」みたいなことを書いておいてなんですが、やっぱり時々はこういうこともあります。4年くらい見てきていますが、最近は段々と質が低下してきている、というか、昔ほど芝居にオーラがないというか…。もっと頑張れ!

その後、「トランス」の方の打ち合わせ。今回はどうもスランプで、なかなか映像のイメージがわきません。そういう時は、とりあえずさっさと撮り始めるのが吉なのですが、役者のスケジュールが合いません。音楽が決まっていないのでどんなテンポにするのかも決めてないし。はあ、なんか疲れる。今まで提供してきた映像は、ことごとく観客に無視されてるので、今回はより舞台に密接したものを作りたいなーとか思ってても、それを決めるのは演出なんで、目下色々見せて洗脳中。「青春みたいな感じ」とか真顔で言うな!

今日は愚痴ばっかりですね。すいません。

10月23日

昨日の夜からネットにつながりませんでした。何かヤッホゥのモデムがフリーズしてたとか何とか。そんな症例聞いたことないですが。まずいことに翌日レポートをメール提出しなくてはならなくて、レポートも書き終わってなくて、かなりテンパリながら朝を迎えました。最初っからカスタマーサポートに電話しておけばよかった。

しかし、一晩使えなかっただけでこれほど不便だとは。ヤバイなあ。パソコンなくなったらどうなるんだろう。

昨日は映画仲間のhidoo氏と町をぶらぶらしながら写真撮ってきました。hidoo自慢の600万画素のデジカメを借りて。ヤッパいいなあ、600万画素。というか僕は散々写真を載せているくせに自分はデジカメ持ってないんですよね。人の刀で勝負する、というか。で、カメラを借りたり撮ったりしながらふらふら歩き回ったわけですが、何かにつけて趣向が似ているというか、要するに二人して電線電線、鉄塔鉄塔と言いながら撮って回っていたわけで。アングルやら考えてることまで一緒なんで、何か笑えました。映画や映像の仕事でもう4年も一緒にやってるんで、信頼できる仲間です。趣向も一緒なんで安心できるというか。

帰りがけに買った「王立科学博物館」で「月球儀&レンジャー7号」ゲトー!はじめはスプートニクだけ手に入れればいいかと思ってたんですが、何か対になっているもんで、結局散財してしまいました。ふたつ並ぶとまたかっこいいです。

10月22日

一日中雨。たまにはこんな日があってもいいと思うけど今年は半分ぐらい雨降りのような気がするからもういいや。

そのせいでバイトが無くなったんで、一日中ヒマでした。何か生産的なことをしようかとも考えたけど、何もしませんでした。画像作りとか、その程度で。

新居昭乃という歌い手がいて、アニソンとかまあそんなのを歌ったりしていて僕は割りと好きなのですが、その人がかつてみんなの歌で「メトロポリタン美術館」という曲を歌っていたことを知って驚愕。ガキンチョだった僕はこの曲が怖くて怖くて、というかミイラやら銅像やらが夜中の美術館を徘徊するというトラウマ必至の映像と新居昭乃の高くて細い声が妙な空間を生み出していて、怖面白いというかとにかく強烈に印象に残っていたため、10年以上経って今聴いている歌い手と同じだったというのは何というか、驚きというか。

要はその頃と大して進歩がないってことか。

10月21日

結局朝まで無駄話して、その後朝っぱらから酒を飲んでしまいました。朝飯代わりに飲み会です。酷いな。

成田良吾/『バッカーノ!1932』。僕はそれほどたくさんライトノベルというものを読んだことはないのですが、総じて世界観や構成やキャラクターは、「どこかで見たもの」という域を出ず、話の筋も単純というか、それほど考えられてはいないような印象をぬぐえません。それでも、時々は上手いなあと思える作家に出会えることもあります。既存のミステリーとは一線を画した上で、ライトノベルなりの軽さを残したまま独自の路線を構築できる、という作品。最近では、ミステリとホラーとアクションと哲学の混合といった作風を打ち出した上遠野浩平など。成田良吾という作家も、まだ荒削りではあるものの、今後どう作風を転がしていくかで凄いミステリ作家になれるのでは。構成力に関しては十分にその力があると思います。

話は前作に当たる『1931』の前後をカバーするもので、総体的に見れば『1931』と『1932』を合わせてひとつの作品といえるかもしれません。前作で、いまだ残っていた小さな伏線が、ここへきて全て綺麗に回収されて、でかいジグソーパズルを作り終えたかのような爽快感があります。次回作からはしばらく別のシリーズに取り掛かるということで、次は12月に刊行されるようです。コンスタントに作品を読めるのはライトノベルのいいところですな

高木正勝/「Rehome」。良い。『JURNAL FOR PEOPLE』でも優しい感じのエレクトロニカだったけれど、こちらはボーカルをフィーチャリングしたものが多く、もっと柔らかい仕上がりになっている感じ。引き出しがいっぱいある人って尊敬します。

髪を切りました。サッパリ。

10月20日

学校へ提出する実習ノートを書きました。午後いっぱいかけて。僕はひとつ区切りがつくと、とことん呆けるタイプでして、実習が終わってから提出するべきノートを2ヶ月近くも放置してました。もう、当時書こうと思ってたことも記憶が薄れて難儀します。というか、つい昨日のことのように感じるのに、記憶は正直に薄れていってくれる。まるでじいさまみたいですな。

で、何ヶ月がぶりに鉛筆でレポートを書きました。きつかったです。最近はパソコンでワープロ打ちなんで、手で文字を書くのは久しぶり。結局4000字以上書いたのですが、漢字は忘れるは、手が疲れて文字が崩れるは、少し愕然としました。パソコンはすげぇけど、使っている人間はどんどん駄目になっていきますね。時々は手で何かを書いてリハビリしなくては。

アンダーワールド/『UNDERWORLD1992-2002』。予想通りTomatoによるPV付で、それだけで十分購入の甲斐アリです。しかしこの時期に4000円もの出費はちときつかったかも。ボーナストラックとして収められているアンダーワールド以前の「Lemon interrupt」名義のトラックには、ブルースハープを主旋律にしたものもあって、彼らの守備範囲は実はもっと広いんじゃないかとも感じさせられたりします。コテコテのトランステクノだけじゃなくて、こういう色んな敷居をまたぐ音も聞いてみたいです。

夜、先日のポスターの印刷に演出のKan氏が来ました。でも学祭期間中だから、学校にはポスターは貼れないんじゃないかな。

その後、場所を友人宅に移して無駄にいろんな話をしてしまいました。某W大学ではサークルの演劇でも入場料2000円強は固いそうです。先日観に行った、うちの大学の演劇サークルレベルでも1500円は取っているそうな。スゲー。試しに僕の映画はいくらぐらい取れるかと聞いてみたら、「500円くらいじゃない?」と。(´・ω・`)。

演劇や音楽は、やはりライブの強みがあります。映画で金を取れるレベルのものを作るには、やはりそれ相応の完成度と脚本の面白さが必要になります。大体、メジャーでもそれなりの完成度と面白さを持った作品はそう多くはありません。映画とは荊の道ですなあ。

10月19日

眠い。もう生活リズムが滅茶苦茶です。今日は早く寝よう。

【不思議の国のアリス症候群】
@.(親に怒られたときや熱が出たとき、または平時)相手の顔が大きくなったり自分が他の場所からみているような感じ。大小、遠近、空間、時間が歪む。
離人症、偏頭痛・てんかんなどによる「不思議の国のアリス症候群」の場合も。
A.(幼児期の発熱時、または今)寝る前・目覚めた直後・寝ているときなどに覚醒していない状態で体験する「極細・極太」「極大・極小」「針とタイヤ」「白・黒」「混沌・秩序」「アリと象」といった対称のもののイメージ。
リズム(交互に訪れる)やスピード感、圧迫感(飲み込まれる・潰されるなど)なども伴う。
B.半覚醒時の夢、瞼の裏に次々と浮かぶイメージ。
または「夢」の中で「〜をしなければならない」という使命感・圧迫感・焦燥感・恐怖。

だそうで。子供のとき、風邪をひくとよくこんな感じの夢を見ました。30時間くらい寝てないと、昼間からこんな感じです。

10月18日

朝の6時。眠い。

今日はわがシネマファクトリーの誇るコント王、ktの撮影に参加。カメラマンだけかと思ったら、演技する役者の背後で延々「暇そうなAD」をやらされました。それに加え、即興で演技をさせられました。僕はこういうのに非常に弱い。

「もう二度とスクリーンの中に立つものか」という固い誓いを破ったのは、もうこれで3度目になります。撮影した他人の演技をチェックするだけでも恥ずかしいのに、醜態を晒す自分の姿まで面倒見切れません…。

その後、みんなで鍋を食いました。なんか、これも撮影のうちです。みんなで鍋を食って阿呆のように笑っているところを撮られました。もう人前で歩けません。

「ものを食う」というアクションを撮影するのは非常に難しいです。まず、食べ物を美味そうに撮影するのが難しい。料理というのはよほど上手く撮らないと、かえってグロくなるものです。そして、ものを食う、という行為自体をきれいに撮る難しさ。先日の『秋刀魚の味』は登場人物が食事をするシーンが非常に多かったのですが、そのどれもが非常に美味そうに撮られていて驚きました。

この、「ものを食う」という行為を執拗に撮影する監督がいます。押井守です。特に『アヴァロン』では未来のゲーム戦士が、まずそうな配給食糧をひたすら汚く汚く食っているシーンがありました。同じ食事のシーンでも、撮り方によって全然その持つ意味合いが変わってきます。『アヴァロン』を観たときは食欲が一気になくなりましたが、『秋刀魚の味』では逆に腹がぐうぐう鳴りました。

しかし、現在節約週間のため、僕が食えるのはシーチキンライスだけなのでした。そういうお話。

10月17日

今日はなんだか寝ていただけのような気が。

BSで小津安二郎/『秋刀魚の味』。娘を嫁に出す父親の姿を描いた、小津の中でももっとも有名な作品のひとつですが、やっぱりなんだかいい感じでした。秀逸なのはやっぱり役者の表情。絶えず笑顔で柔らかい物腰でいた父親役の笠智衆が、最後に一人でトリスを飲んでいるときに見せる、何ともいえない表情。結婚しそびれた娘と二人暮しをしている、主人公の中学時代の恩師「ひょうたん」の誰もいなくなったラーメン屋店内での表情。妻に許されて、晴れてマクレガーのゴルフクラブを買った主人公の息子の表情…はまあいいとして、こうした何もないところでの演技が、あとになってじわりと効いてきます。何もないところでの演技、こういうのも映画の特権です。

街の風景も、都市論をかじっている身にはなかなか興味深いものでした。間に挿入される、ふとした何気ない街の情景がこの映画を地に足の着いたものにしています。全然違うかもしれませんが、押井守の映画に近いものを感じました。名作とはいろんな映画の端々に残っていくものなんだなあ、とか思ったり。

やはり小津風なるものは各所に徹底して使われていました。ローアングルで、人物の出入りには必ずドアや障子を挟む。こういうのは徹底するからこそ「作風」になるんですね。会話でオフの音声がほとんどなかったのも新鮮でした。必ず台詞を喋っている人物を映しています。それが、ある意味くどいのに不思議と映画に溶け込んでいました

金曜ロードショー後の最新映画情報。ジブリの新作の映像も流れていましたが、夏に観た劇場の特報第一弾以上のものは流れていませんでした。城が歩いているところだけでした。なかなか迫力のある映像で、ちょっと楽しみかも。

押井守の新作『イノセンス』の予告も流れていました。CGの使用頻度が前作『攻殻機動隊』よりはるかに多くなってました。しかし、飛び散るスナック菓子ひとつひとつをCGで描くとは…。都市の風景は香港風だった前作に比べて、『ブレードランナー』みたいなダークな感じになってました。こちらも楽しみです。

ところで、宮崎も押井も、プロデューサーは鈴木氏なんですね。はじめて知った。

Gutevolk/『the humming of tiny people-グーテフォルクは水の中』。良い。高木正勝らと同じ、細野晴臣のレーベル、デイジーワールドから。ささやくようなフランス語と浮遊感のあるエレクトロニカ。最近は疲れているせいか、アッパー系の音楽よりダウナー系の音楽を好みます。アンビエントとかエレクトロニカって、すごく映像を喚起させるので好きです。他人の映画と並んで、僕の制作意欲の原動力です。

10月16日

宇宙飛行士が牛乳のCMに出るのは『王立宇宙軍』と同じですね。

廃工場に行ってきました。携帯のカメラで撮ったんでひどい画像。でも最近はあとからどうにでもなるもんです。自分の背中にこんなものが転がっているとは全然知りませんでした。この街は結構あちこち歩き回って、知った気になっていたのですが、まだまだ知らないことは多いようです。

廃業は去年の12月。アパート前の狭い道路を、機材を運び出すでかいトレーラーが何度も往復していたので、潰れたことは知っていたのですが、廃工場になって1年でここまで趣のある廃墟になっているとは知りませんでした。

映画にもぴったりなんですが、内部には仮設テーブルの上に灰皿や埃のついてないペットボトルが置いてあったりしたんで、まだ人の出入りがあるのかもしれません。くわばらくわばら。

10月15日

…。

今起きました。夜中の1時22分です。あー…何やってんでしょうか?僕は。途中12時間ほど前に、友人のhidoo氏から「廃墟行こう廃墟」みたいなメールが来たのは覚えているんですが…。

アパートの近くに廃工場があることが発覚。なんでも体育館ほどの大きさがあるとのことで。『SKYFISH』で使えるかもしれないので、近いうちにhidoo氏と見に行こうと思っています。それにしても雨ばっかりで嫌になりますね。何かしようとするといつもこれだ。

『山猫は眠らない2-狙撃手の掟-』。ベレンジャー!最高です。カッコいい。80年代の匂いをプンプン感じます。しかし、目がかすんで射撃時期を逃すなど、年を感じさせる描写もちらほら。ちょっと悲しいですな。

鴻上尚志の演劇『天使は瞳を閉じて』、新宿でやるようですね。以前アートワークを手がけたこともあって、思い入れの強い作品です。一度ちゃんとした劇場で観てみたいですね。というか、演劇の仕事はいくつか手がけているけど、プロの舞台は観たことなかったり。

中国が有人宇宙船打ち上げ成功。『プラネテス』とか『王立宇宙軍』が好きな僕には堪らないです。宇宙ってのはやはり浪漫がありますなあ。福田官房長官は無人でも有意義なことは云々、日本には日本のやり方が云々とか言ってましたが、やはり個人的にはもっと冒険が欲しいですね。

そういえば、昼間地震ありませんでした?なんか、メチャメチャ揺れて色々落下して、でも眠いからいいやーとか思ってそのまま寝ていた記憶があるのですが…。

10月14日

久しぶりに新作映画を観ました。

『バリスティック』。「5分に一度の爆破美学」というフレーズどおり、実に頻繁に爆破シーンが登場。爆発の光を背に受けて銃を構えるアントニオ・バンデラスや、銃弾の中を華麗に舞うルーシー・リューはかっこいいけれど、惜しむらくはその爆破やアクションシーンに意味付けがされていないこと。中盤のルーシー・リューとDIA(国防情報局)、バンデラスの3つ巴も、よくよく考えると何故彼らが戦っているのかよく分からなかったり、爆破もあまり意味がないものが多く、しかも頻出するため、アクション映画らしいタメやカタルシスに欠ける気がしました。バンデラスもルーシーも何か終始ムッツリしていて、ちょっともったいないかも。個人的には敵役のDIAエージェントの兄ちゃんが好きだったんですが、それに比べてラスボスのガント氏がヘタレすぎなのもちと惜しかったです。

ところで、今回悪役になったDIAという組織。一般的に情報局というとCIA(中央情報局)や、最近になって映画における露出が多くなってきたNSA(国家安全保障局)が有名ですが、DIAは主に軍関係の諜報を行っている組織です。僕もはじめて知ったのは『メタルギア・ソリッド2』の中でですが、最近ではイラク戦争後の後始末において、「イラクの化学兵器保有確認できず」という報告を行ったのもこの組織。ともあれ、最近のハリウッドにおける深刻な「敵不足」を如実に現すようなマイナー組織なのでした。

『SWAT』。同じアクション路線ですが、こちらは何も考えずにただ楽しめる作品でした。『バリスティック』が終始暗澹たるムードなのに対して、演出の明るさとキレが最後まで楽しませてくれました。冒頭の強襲シーンはドキュメンタリズムを追求したためか、ブレブレの映像を短くつなぐというカット回しをしており、乗り物に弱い人は酔ってしまう恐れも。しかし、全体的にテンポ良くつないでいるために、途中で飽きるということもありませんでした。なにより、音楽がいい。マイナーながらも腕のいい新人バンドを起用して、ロックからHIPHOPまで追跡シーンを盛り上げるのに一役買ってます。難を言えばラストにもう少し盛り上がりが欲しかったのと、役者を覚えにくいことですかね。SWATの訓練シーンや強襲シーンはよく描かれており、特に観客に疑問を抱かせることもないでしょう。それにしても、プロの意地をかけて戦う男達というのは、いつ見てもカッコイイものです。僕はプロフェッショナルってヤツに弱いですね。

昨夜はまた、ずっと演劇のポスターを制作していました。何だかんだで結局3パターンも作りました。眠い!

10月13日

先日の皆さんお疲れ様でした。眠いところを遅くまでありがとう。

結局飲み会後、松平氏と昼まで映画を観ていました。『王立宇宙軍』と『プルーフ・オブ・ライフ』のクライマックスと『地獄の黙示録 特別完全版』の3本立て。映画を観ていっぱい寝れて久しぶりの休日といった感じ。松平氏とはほとんど話したことがなかったんですが、映画の話で大いに盛り上がれて、とても楽しかったです。長々と付き合ってくれてありがとう!また酒を飲みたいです。

出来ればロードショーを観に行きたいところですが、金がないのが運のつき。天気も悪いので、おとなしく家で寝ているに限りますなあ。

『ガングレイヴ』。先週の初回は、ゲームをやった人間にとってはテンポが悪く、やってない人間にはストーリーが分からないという悪循環でしたが、今週辺りからガラッと変わって過去の話になりました。この際『カウボーイ・ビバップ』以来のマフィアものに育って欲しいもんです。

BS2の番組で吉田美奈子が歌っていました。カッコイイ。

10月12日

シネマパレード無事終了しました。

『綺麗』の方もなかなか好評で喜ばしい限りです。特に、アンケートで最も映画らしい映画だった、という感想があったのは本当に嬉しいですね。打ち上げでは放送関係の方々とたくさん話が出来たので、とても参考になりました。皆さんありがとうございます。また12月に都留会場があるので。身内の方々よろしくお願いします。

先日作ったポスターにケチがついた。自分で気に入っているだけに残念。みんな…みんな分かっちゃイねーよ!!

今日は、ktCorpse君とミズベ氏と皆で楽しく飲みました。途中から松平氏も加わって皆でテクノライズを観ました。ホント傑作です。吉井さん…。

これでようやくひと段落ついたので、明日からまたがんばるぞー…。

10月10日

午前2時30分、『綺麗』の著作フリーVer.完成!いやぁ、正直今回は駄目かと思いました。映画は完成してるのにメモリ不足のせいで動画がカクカクするんですよ。いつも書出しがネックになりますね。それにしても丸半日付きっきりで手伝ってくれたhidoo氏、ホントにありがとう!眠い!

今回再編集した『綺麗』は、今年の春にサークルの上映会に出品したものです。あれからもう半年。月日が流れるのは早いもので、あの時秋口〜冬という季節設定にもかかわらず咲き乱れていた桜もみんな散りました。ざまあみろ!映画に関する詳しい紆余曲折とか、作品に対する熱い思いなんかは、原作者であるkt氏のサイトを参照のこと。

明日(今日か)のシネマパレード用に、うづっこさんに音楽を制作していただいた著作権使用料がかからないヴァージョンです。エンディングもそれにしたがって長くなっています。音楽の関係でギリギリだった駅の別れのシーンと、電車内の主人公の描写が増えています。また、一部で不満があがっていた、微妙なカットの長さをあちこちトリミングして、以前よりテンポがよくなっていると思います。本当はラストのモノローグも追加したかったんですが、結局出来ずじまいでした。また機会があれば採録して編集してもいいかな。

それにしても専用に作られた音楽と言うのは実にやりやすいです。改めて、いろんな人のおかげで僕の映画は作られているのだと痛感した今日この頃です。

10月9日

ヤバイです。昼と夜が完全に逆転してます。なのに、やらなくてはいけないことがほとんど出来てない。数えるだけでも、レポート不提出、授業欠席、明日本番のシネマパレードの会議欠席とそのシネパレで流す映画の再編集…。

ギリギリまで溜め込むのは僕のよくないクセです。その結果どれひとつまともに出来なくて迷惑をこうむるのは他人。

とりあえず明日流す『綺麗』の再編集は何とか終わらせねば。もう前日の朝ですよ!寝ちゃ駄目だ寝ちゃ駄目だ寝ちゃ駄mdなあ悦dsねts…

あ、シュワちゃん当選おめでとう。でも、もう映画に帰ってこないなんて言わないでください。

10月8日

寒い。雨ばっかり。今年はずっと天気が悪いような印象です。

後輩に借りたtoeという人のアルバムを聴いています。音楽のジャンルについては厳密には良く知らないのですが、ポスト・ロックとかアンビエントとかの部類に入りそうな感じの音です。ユラユラ・フラフラしてて寝不足の頭にじわっと滲みてイイす。前に買ったCalmの『Ancient future』もこんな感じで気持ちよかった。

上映会終わりました。2日合わせて30人くらいの客足。まあ、即日の宣伝と口コミだけならこんなもんでしょうかね。どこかの演劇サークルのように、一日で100人以上呼び込むくらいの活気が欲しい、とか思ってたのはずいぶん前のこと。

昨夜は、その演劇サークルの知り合いと徹夜で打ち合わせ。11月の公演用にショートフィルムとポスターのアートワークを手がけます。演劇のアートワークフィルムを手がけるようになって3年、6作近くを手がけていますが、なかなか理想と評価が結びつかないのが悩みです。まあ、観客は舞台とそれに出演している人達を見に来ているわけで、細々とした映像はあまり感想にも触れられないわけで。

今回の曲調は「ザ・ブルー・ハーツ」みたいなの、ということなんで、今までの抽象的なイメージと風景の組み合わせなんかが使いづらい。ちと方向性を変えなくてはなりません。下手するとカラオケの映像みたいになってしまう恐れがあるので、よく考えねば。

しかし、毎回タダ働きで見返りもナシ。よくやるよ。まったく。

10月6日

ヤバいッス。レポート全然進まない。

先日購入した『帝都東京・隠された地下空間の秘密』。面白い。面白い、けど…仮にも史学ゼミの学生がこれを元にレポート出したら、教授に頭をぶん殴られそうです。どうしようか。今から去年出した「昭和初期の東京における貧民の食生活」を改竄して提出する路線に切り替えようか…。厳密には単位に含まれないんですが、好きな講義だから切りたくはないのですが。この日記かいてるのも現実逃避だったり。

明日(今日)からシネマファクトリーの上映会。新作がないので、hidoo氏と僕の作品の過去作上映会になるらしいです。7日がhidoo作品、8日が僕の作品です。観に来れる知り合いはどうぞ、来てやって下さい。

僕の作品は全て流すとゆうに2時間を越えるので、電線のPVと『彼女は羊の夢を視る』、『綺麗』の3本になる予定。『彼女〜』はとある地方都市を舞台に、連続変死事件の顛末を描いたサイコ・スリラー、『綺麗』は姉の失踪を機に故郷に帰った男が記憶を辿って旅にでるロード・ムービー。処女作の時代劇『業−The Guilt−』はちょっと恥ずかしいうえに長いので今回はパス。まだ青かったなあ…。一番撮ってて楽しかったけど。

今月中にクランク・イン予定の『SKYFISH』は初心に帰って「カッコイイ」を追求したアクション映画にしたいと思ってます。組織の取引代行屋が罠に嵌って血みどろの闘いをする羽目になる、という感じ。撮ってて楽しい作品になるといいなあ。

10月5日

自分のサイトをググってみました。「Life Like Blue」だと一番上にきます。でもLinkとAboutだけ。?。

スプートニクかっこいいなあ…。ソ連の建造物デザインは土臭いと言うか、素朴な感じがして好き。合衆国製ほど洗練されていないし、日本製ほど即物的でないし。タルコフスキーの映画を観てても、何を撮っていても廃墟に見えるし。いいなあ…。

今日も午前中に地元の老人に聞き取りに行ってきました。前日の酒が残りまくっていて、5時間しか寝ていないせいもあって最悪の状態。ぎこちない笑みと挙動不振なテンション。でも勝手に色々喋っていただけたので、ずいぶん助かりました。お土産にゼリーと水羊羹をもらいました。こういうときに出されるお茶菓子って、手をつけるタイミングに非常に困る。食べないのもなんか失礼だし、かといって、話そっちのけでがつがつ食ってるわけにもいきませんし。誰かいい方法を教えてください。

帰り道、家の近くのパチンコ屋の駐車場に黒いワゴンが止まっていて、その周りに明らかにカタギでない黒スーツの方々が大量にうろついてらっしゃいました。怖ッ!

午後、アマゾンで頼んでいたレポート用の参考資料が到着。今回は東京の地下空間について書くつもりで、秋庭俊著『帝都東京・隠された地下空間の秘密』という本を購入したのですが、激しくトンデモ本の予感。あと2日で書かなくてはならんのですが、どうしよう。

BSで小津安二郎特集。今月から年末にかけて、現存するほとんど全ての作品を放映するらしいです。撮影中に室内ローアングルだと「オヅ風、オヅ風!」と笑っていたんですが、実際には1本も観ていなかったり。ちゃんと観て勉強するいい機会ですね。

10月4日

久しぶりに後輩の撮影に参加しました。撮影自体はコント中心だったので、それほど大変なことをしたわけではないのですが、やっぱり楽しかったです。あの、現場で一斉に本番をスタートするときの感覚はなかなか言葉に出来ない高揚感があります。また映画を撮りたくなってきました。

一度映画を作るとどっと疲れて、次の構想やネタ探しをしていると、やはり1年くらいのブランクは空いてしまいます。だからいつもクランクインは一周まわって冬ばかり。寒い中ではあまり撮りたくないですが。

周りの人間には最近愚痴ってますが、このところ作品を何も作っていないのに、知ったようなクリエイター論や作品論を振り回す人間が多くて、正直ちょっと辟易しています。当人が何を思おうがそれは勝手ですが、結局口だけで何も出来ない人間が、状況は悪くとも何かを必死で作っている人間に偉そうな口を利くのは我慢ならん。悔しかったら何かを成し遂げることの大変さを思い知ってから言ってみたらどうだ、と。何を言おうが、形を残した人間に何も出来なかった人間は絶対に勝てない。そう思ったりするわけです。

撮影の後、知り合いの誕生日の飲み会へ。久々にゆっくり楽しく飲めてよかったです。まあ飲み始めるまで、彼が誕生日だったことを知らなかったわけですが。誕生日おめでとう無学。僕は1月4日なので、知り合いに祝ってもらったことは一度もないですよ。正月早々誕生祝いを開いてくれる奇特な人間は、なかなかいませんわ。

帰りがけにコンビニで食玩「王立宇宙博物館」を購入。念願の「スプートニク」をゲットしてかなり上機嫌です。これで僕のデスクトップには卍さんやランバ・ラルやザクヘッドや74式や90式などにスプートニクが加わりました。正直そろそろマウスを使う場所がなくなってきました。

スプートニクといえば、今日から『プラネテス』の放送が始まりました。原作で描かれていた、宇宙で仕事をする厳しさや、人間に対する畏敬の描写はかなりマイルドになっていてちょっと残念でしたが、作品のクオリティは高いし、原作とはまた違うノリを持ったストーリーがどこまでやってくれるのか。とりあえず今後に期待。出来れば、僕の中で傑作だった第一話のユーリのエピソードはきちんとやって欲しいなあ…。ユーリが"ハチマキ"のことを「星野君」と呼んでいたのにかすかな違和感。

10月3日

というわけで。ようやく「足尾銅山紀行」をアップ。疲れたー。レポートも書かずに何やってんだろう。とか思ってはいけません。長いけど読んでやってください。読まなくてもいいけど。

『ジョニー・イングリッシュ』のCMでローワン・アトキンソンが呟く「キミノムスメサンタチニ、チイサナ〜」の台詞が頭にこびりついて離れません。うう。

教授が頭痛がする、と言い残して大阪に帰ってしまった。一週間ぐらい帰ってこないらしい。「宇宙のステルビア」が終わってしまったことをずいぶん悲しんでいたから、そのせいかな?他の教授が聞いたら激怒しそう。

CBSドキュメントを見ていたら、現在の警察の科学捜査では指紋の検出などにAdobeの「Photoshop」を使っているらしいです。今では僕らでも使っているソフトが科学捜査の最先端に使われているというのはちょっと驚き。

ニール・ヤングとクレイジーホースが来日公演。ちょっと行きたい。でも金も時間も余裕もない…。

『FF12』。プレステ最後の傑作『ベイグラント・ストーリー』を作った松野グループが制作らしいです。久々に楽しみなRPGです。

更新をサボった日に最高アクセス数。毎日更新しろというワイヤードの神のお告げですか?

足尾銅山紀行

足尾銅山は1610(慶長15)年に開山して以来、江戸時代から昭和48年まで400年近く続いた歴史ある銅山です。1877(明治10)年に古河市兵衛が経営し始めて後、生産技術が急速に近代化され、銅の産出量が飛躍的に伸び、日本における産業の発展に伴い急激に発展してきました。1880年頃から鉱毒の被害が表面化し始め、その後も急速な森林の伐採による洪水などの問題を抱えながらも銅を産出し続け、1973(昭和48)年に閉山しました。

今回は大学の友人の親父さんが銅山の廃墟の撮影旅行に出るというので、それに便乗してお供させていただきました。鈍行で7時間かけて長野は上田の友人宅へ。そこで一泊させてもらい、翌日の朝に出発。

   
足尾駅
プラットホーム
廃電車
食堂跡

長野から車で約3時間ほど走ると、村の入り口に辿り着きました。出掛けには晴れていたのに、村にさしかかると空はどんよりと曇り、まるで横溝正史の小説のような雰囲気。僕はかなりの雨男として知られているのですが、それにしても陰気すぎます。入り口から赤煉瓦の倉庫らしき建物や工場の廃墟が連続し、早速一人で興奮してしまいましたが、とりあえず街の中心である足尾駅へ。駅はちょうど列車が出たばかりだったせいもあり、ガランとしていてそれこそ廃墟のようでした。ディーゼルトロッコが見れなかったのは残念。駅の中では耳の不自由な老人が二人、手話で話をしており、すでに異世界めいた雰囲気。自動車も時たま通過するものの、狭い道をえらいスピードで飛ばして行きます。

   
食堂跡入り口
食堂跡内壁
ウィスキーの空き箱
ホール

地図を確認し、かつての中心街へ。今でこそただの林道ですが、昔は道沿いにかなりの数の長屋が並んでいたようです。

まずは手近にあった食堂跡へ。建物は台風か何かで半壊しており、入り口からは入れませんでした。柵の隙間から裏手に回り、裏口から侵入。中の壁は青で塗られていて、装飾用のモールやウィスキーの空き箱などが散乱してました。

   
食堂の机
廃坑入り口
風呂場跡
風呂場跡内部

続いて沢の対岸にある廃墟に入ろうとしたのですが、こちらは厳重に門が閉じられていました。しょうがないので、一度沢に下りて山側から潜入。敷地内には、下りてきた山の中へ入っていく閉鎖された廃坑の入り口や、かつてはスケートリンクだった広大な水溜りなどがありました。裏手の石造りの建物はかつての風呂場跡。崩壊したトロッコのレールを伝ってようやく内部に侵入。風呂場の中の水は硫化銅で青緑に染まり、ロッカーには当時のものと思われる日本酒の一升瓶などがまだ残っていました。

   
風呂場内部には梯子が
長屋の廃屋
精錬所全景
対岸の精錬所

一度飯を食べに、銅親水公園へ。ここは観光地らしく、ぽつぽつとカップルや小学生と思しき集団が。なにやら足尾を盛り立てる市民集会のようなものもやっていましたが、今ひとつ奇妙な違和感というか、異様な雰囲気が…。天気もサッパリ。

食後、街道に沿って徒歩で探索。渡良瀬川を挟んで対岸にはこの町で最も巨大な廃墟、精錬所が鎮座していましたが、侵入するには50メートルくらいの岸壁をよじ登らねばなりません。無理。道沿いには当時の長屋の廃屋が転々と並んでいます。鉄条網はもう何度も侵入されたためか、人が入れるほどの隙間が。中はぶよぶよに腐った畳とわずかに残った生活品のゴミだけ。犬のミイラなんかも転がっていました。

住居群は山の斜面に沿って建てられており、ススキに覆われた迷宮のような石段を登っていくと、頂上にはフェンスで囲われたゲートボール場と小さな社が。石段からは足尾の全景と対岸に構える精錬所の異様が一望できました。

気がつくと連れの人達が誰もいない。迷路のような廃墟に取り残されると昼間でも怖いです。

   
3猫
精錬所外観
線路
信号

街の中には当然まだ人が住んでいるのですが、もはやどれが廃屋でどれが民家なのかすら分かりません。一軒の家の脇に全く同じ顔をした三兄弟の猫がいました。撮ろうとするとサッと逃げ、またこちらを振り返る。その繰り返しでいつの間にか段々と奥へ連れて行かれそうになりました。街も人も猫もなんだか奇妙な感じです。

精錬所内にはまだ管理者がいたので、しょうがなく外側から撮影。奥には鉄骨になった廃墟やコンベアの残骸などが残っているのに残念。

精錬所からは鉄橋によって廃線が延びていました。友人親子が侵入を試みるも、たまたま通りかかった通行人に発見され注意を受け潜入失敗。しかし、男は冒険を忘れてはいけません。

廃線の周囲には鉄道マニアか廃墟マニアと思しき男たちが、しきりにシャッターを切っていました。足尾を訪れる観光客のほとんどはこうした写真家たちです。立ち話をした初老の夫婦に、「最近はこういうのが流行っているんですってね?」と言われて、ぐうの音も出ませんでした。

   
長方構造体
円形構造体侵入
円形構造体上部構造
円形構造体内部構造

廃線の周りをうろうろしていたら、ついに雨が。車に乗り込んでもと来た道を戻ります。途中「古河掛水倶楽部」なる資料館に立ち寄るも、4時で営業終了。全く使えん。

来るときに見かけた廃工場へ。ここにも「立ち入り禁止」の表示がありましたが、立て札嫌いのストレンジャー、スナフキンを見習って断固突入。へんてこな長方形の構造体や、奇妙な円形構造体が立ち並ぶ風景に興奮。

こそこそと円形構造体内部に潜入。階段を上がると、内部は青い水が溜まっており、その上部には操作室と思われる小屋が。カッコイイ!危険を犯して潜入した甲斐がありました。

   
足尾観光
廃坑内部侵入
坑道へ
坑道の果て

最後に「足尾観光」へ。本来ならここが観光のメインなんですがね。たまたまトロッコの時間が合ったのでついでに。入坑料800円。高い。ちくしょう。でも親父さんが払ってくれました。そのトロッコは途中で先頭を切り離すはずが、何故か止まらず、ずるずると滑っていきます。運転士のオジサンがあわててレールに砂をまいて止める。先行き不安。とか思っていたら5分ほどで到着してしまいました。これで800円とは…。

しかし、坑道内部は以外に様々な仕掛けがしてあって、なかなか楽しめました。空ろな目をした炭鉱夫の人形がいっぱい展示してあるのですが、ボタンを押すとのろのろと掘る真似を始めます。それに合わせて博打でいくらスッただの、帰って一杯やるかだのと、僕がバイト中に良く聞く会話が流れ出したり。労働者は今も昔もあんまり変わりませんな。

坑道を抜けると資料館と売店。マスコットキャラクターの「源さん」が坑道案内するムービーを見たり、精錬所のミニチュアを見ながら潜入経路を練ったり。売店のおばあさんたちはやけに熱心に売り込んでくるので、ついついライターとそば餅なるお菓子を購入。きりがないので勧誘を振り切るようにして地上に脱出しました。

というように、非常に充実した一日でしたが、まだまだ全てを見るには至りませんでした。もはや街全体が巨大な廃墟といってもいいほどで、一日ではとても見切れません。いつかまた赴き、今度こそ精錬所の中に!

10月1日

足尾銅山紀行をアップしようと思いましたが、あまりに疲れてたんで途中で挫折。

テレ朝の『スイスペ!』を見ました。「宇宙人か!?謎の地底人クルピラを追う!!隊長を襲う猛毒の矢!150メートルの断崖!激流が襲う!そして鍾乳洞の地下へ…」

…ある意味最強の番組でした。最近の番組はヤラセということを楽しむのを前提にしたものが増えてますが、これはもはやその究極のような番組でした。丸太からこけて、深さ30センチほどの川に落ちて飛び交う怒号!、飛んできた猛毒の矢(棒切れ)に腰を抜かす隊員!現地民に友好の意を示すためにパックの塩を置き、150メートルの断崖を下る藤岡弘をカメラが下から撮影する!そして、ついに姿を現したクルピラ(全身緑タイツの人影)を追い回す探検チーム!ドキュメンタリーというか、もはや藤岡弘の新作ドラマ?「こんなのヤラセだよ」と言った人は負け。

しかし、隊員役にはもう少し演技力のある人を雇った方がいいのでは?

そして藤岡隊長が最後に残してくれた我々へのメッセージ。「…諦めることも大切だ!」ありがとう藤岡弘!!