LIFE LIKE BLUE

Diary Log-2005-02

2月26日

撮影最終日。朝7時方南町駅前集合。いやあ、家から自転車で5分の距離なので、非常に楽なことこの上なし!以前交渉した書店さんで万引きシーンを撮影。撮影用に講師が仕入れてきた撮影許可済みの漫画が、よしづきくみちの『魔法使いに大切なこと』だったのには吹きましたが、ここはひとつ知らぬ存ぜぬを通すのが正解ですな。なにはともあれ、開店ギリギリに終わってよかった。その後、赤羽に移動して、病院の待合室での撮影。リハ中に、病院の看護士のおばちゃんが近寄ってきて、「あのぅ…今日来る俳優さんて江口洋介と松嶋菜々子って聞いたんですけど…」と。いやあ、あはは、無茶をおっしゃる。すんません…江口さんと松嶋さんを起用できるような映画を撮れるようになったらまた使わせてください…。

最後は、先日撮りきれなかったラストシーンの撮影。戸田の公園の公衆トイレでの撮影。この時点ですでに夜9時。すべて終了してクランクアップしたのは10時前。そして後片付けが終わったのが夜10時半。さらに、そこから僕ひとり撮影用自転車に乗って再び方南町へ…。うぇーい!やるさ!やってやるさぁ!というわけで、昨日通った17号〜環七のルートをえっちらおっちらと帰りましたともさ。しかしね、カチンコやらガムテやらをぶら下げた小汚い男が、深夜の街中を自転車で爆走するのは非常に危険です。間違いなく職質もんです。埼玉県で「これから東京に帰ります」とか言った日には、間違いなく一泊もんです。しかも名変してねーチャリだし。外人にもらったチャリだし。で、できるだけ官憲の目に留まらぬよう、何気ない風を装って走りましてね。荒川の陸橋を越えればそこはもう東京都。やったーい!

東京だ!

東京だ!









えー、この写真を撮った直後、交番脇の袋小路に突入して拿捕されました。もうね、わらわらとどこに隠れてたのかってぇくらいの警官の群れ。泣きそう

まあ、何気ない風を装って「俺は助監督だ!これから杉並まで帰るんだ!帰るんだ!」と訴え、それでも結局登録照合され、クレッグがきちんと防犯登録していたことを祈っていましたら、不審げながらも解放してくださいましてね、事なきを得ました。ああもうホントいらねえよこんな大冒険。だってもう若くねえもん。あと、ごめんクレッグ。ちょっとでもガメチャリだと疑って本当にごめん。まあそんなこんなで、帰宅は午前零時過ぎ。御疲れ様でしたー!寝る!

2月25日

昨日は疲れて疲れて疲れましたので、風呂屋にいったら疲れて寝てしまったりでございました。雪なんか降ってる日に撮影するもんじゃないねー。フィルムの映画の現場なんて、「クリエイティブ」なんてかっちょいいもんじゃないですよ。いわば、頭脳労働を伴う工事現場。しかも、休み無しの朝7時集合で夜9時過ぎまで。飯の時間は15分。まあ楽しいからみんなやってんだけどさ。

で、今日は撮影自体は休みなんですが、昨日の撮影地である戸田から明日の撮影地である我が家の近所、方南町まで撮影用の自転車を輸送してきました。輸送っつーか、ひたすらペダルをこいだだけですが!ですが!戸田っつったら埼玉県ですよ!埼玉から杉並まで…あれ?15キロくらいしかねえや。意外と近いね。高校のときは部活で1日10キロくらい走ってたわけですから、実質的にはそんなにハードじゃなかったりしますね。とか気楽に考えてたんですが、いくつか誤算がありまして。地図っつーのは当たり前ですが2次元ですね。そして車道しか載ってないわけですね。そして、なんと言いますか、陸橋が結構あったりして。基本的には17号から環七に入ってそのまま高円寺経由で一本道なんですが、渋谷ですら迷うのに裏道なんて入ったらもうおうちへは帰れません。そんなわけで、チャリを担いでえっちらおっちらと登ったり降りたりが何度かありましてね、あともう自分の肉体が高校時代とは比べ物にならんということも忘れてまして、わたくしもう限界でございますです。ああ疲れた!

さて、ずいぶん前から連呼していた潜水艦アクション映画『ローレライ』がもうすぐ公開ですね。わたくし、公開に先んじて27日に試写会に行けることになりました!やったね!ありがとうございますコージさん!まあフジの提携作品ということだけあって、関連商品やら関連本やらがざくざく出てきましてね、正直もう全部そろえる気は失せ果てました。ていうか僕が好きなのは、福井さんによる原作の熱量であったり樋口さんによる邦画の枠を打ち破る映画であったりするわけで、それらから抽出されたモノ単体に興味があるわけではないというのが屁理屈なんですが、まあ実際のところ人間の思考というのはそこまで単純ではないわけで、分かっていてもおそらく僕はコカ・コーラについてくるフィギアだとかなんとかに手を出してしまうでしょう。だって潜水艦かっこいいんだもん!しょうがないじゃない!たとえこの財布が空になろうともー!あ、駄目だもともと金ねえや。はは。で、まあ何が言いたかったかってぇと、映画『ローレライ LORELEI』 は2005年3月5日公開です!待て、しかして希望せよ!

2月24日

撮影。刑事役の役者さんがすげえ上手くて舌を巻きました。しかも強面なのに、本人はすげえマイルドなひとで、色々気を使ってもらったりして。さすが演技で飯を食ってるだけあるわー。今回の作品の山場のひとつであるクラッシュシーンは昨日撮り終えて、提供した僕の自転車(っつーかヒルトンでもらった自転車)は事故らない方に使ったためほぼ無事だったのですが、今日のシーンで再び劇用車に無残にひき潰されました。めでたしめでたし。ていうか事故車より酷い潰れ方だよ。おろろ。

しかし、たかだかチャリの前輪をぶっ飛ばすだけであれだけの迫力なんだから、ハリウッドアクションみたいな爆破とかカーチェイスとかやったら、いったい現場はどんな状況になってしまうのでしょうか。やっぱり白人はアホだなー。ここ数日事故とかクラッシュのシーンばっかりなのですが、明日は戸田まで行ってもう一台の事故自転車に乗って我が家まで輸送しなくてはいけませんことになってしまいましたとです。縁起悪いことこの上なし。ていうかこれ、雪積もってねえ?ああー。

2月23日

16ミリ作品の撮影。

t枯れた。じゃねえ疲れた。明日も早いから寝ないと…。

マグネットとワールズエンド・ガールフレンドの新作が出る。ヤバー。

2月22日

今回の35ミリはサイレントかつネガ編でオプチカル無しなので、タイトルや字幕もいちいち黒紙に白地で書いて撮影しなくてはならんわけで。で、今日は一応撮休なんですが、前日の夜に仕上げたタイトル用のフリップを持って学校へ。前日の撮影の疲れか、撮影は僕ともう一人しかいねー上に、彼も途中でバイトに行って結局後半は一人で撮影…。地下室の壁にフリップ貼って、パルサー(照明)組んで、アリ3キャメラを組んで、足りない分のタイトル作って、また撮影して終わったら機材解体して…フィルムの取り出しをして…前日使った三脚の掃除をして…。あーもうこれ完全にオーバーワークだよ。さらにその後、撮済のフィルム6巻を持って渋谷のヨコシネ現像所へ。この数日間寝食を共にしたフィルムともこれでお別れ。まあ今度はラッシュフィルムになって帰ってくるわけですが。さらに、もう一度学校に戻ってぼちぼち集まり始めた連中と翌日の撮影機材の積み込みして、家に帰ってから小道具のチラシの直しと、スケジュールの組み直しをして…。うあー疲れたー。

2月21日

撮影でした。6時半にアルタ前集合。アルタ前集合。なんか東京って感じだね。まあ早朝ではカラスとカップル一組とその他ホームがレスな皆さんしかおらんかったけどな!一度5時に目覚めたけど、そのあとニ度寝して遅刻するところだった。2回目の夢は、空気中の粒子を利用した立体ホログラムシステムとそれに伴う光学迷彩が実用化される夢だった。わけわからん。

「命の次に大事だ!」と言われたネガフィルムと、昨夜装填済みのマガジンケースを携え、西部新宿線に乗って、はるばる西武球場駅まで。えらいこっちゃ。昨日までさんざ心配したにもかかわらず、今回の撮影に応援で来ていただいた撮影助手の方がすげえいい人で、マガジンのローディングから露出計算までやってくれたので本当にありがとうございましてどうもでした。ていうか、もう手つきがすげえや。職人て感じです。マガジンを本体に装填するときも、ブロワーでちゃちゃっと塵を払い、レンズの埃を入念かつ手早く取り、撮影対象までの距離をメジャーでピッと計り、刻々と変わる光に合わせ露出計とスポットで一瞬のうちに最適な露出絞りを弾き出す。すげえぇ!かっこいい!ザ・プロフェッショナル!…とかまあ、感心してばかりで肝心の僕はえへらえへらと隣で眺めてるばかりだったんですが。もうアレだ、クレジット上は僕が撮影助手でいいよほんともうすんませんしたー!といった感じでございました。その上素人の僕らを全然あざ笑うことも無く、ポジションやサイズは僕らに任せていただいたりで、ほんともうカメラマンという人種は何故こんなに凄くていい人ばっかりなんだろ。ああ、ああいう風になりてぇー。

とまあ、結局ひたすら感心してばかりだったわけですが、手持ちで実際に担ぐのは僕だったわけで、あのクソ重いアリフレックスの金属塊を抱えて4カットほど撮影しただけで体中が悲鳴をあげました。あと、フィルムってのはやっぱりデジタルとは全然違います。DVならスイッチを入れて振り回すだけで画は撮れるし、失敗したってせいぜいテープ1本分の損失しかないわけですが、フィルムは根本的に違うものです。それがどんな映像でも、1分撮るだけで実に10万円が費やされるわけです。しかもあっという間に無くなっていく…。いわば、1万円札がガラガラと音を立てて回っていくようなものです。ああもう僕はどんな映画も、厳密には撮影監督には絶対に悪口を言いません!シベ超だろうがセカチューだろうが、あのキャメラを担いで映像を作り上げる人間は等しく尊敬に値します。すべてプロフェッショナルの類稀なる業で作られていると知った今日以降、どんな映画にも足を向けて寝ることは致しません。…とか書いてると、まるで宗教みたいだなー。でもホントに大変なんすよ映画って!

さて、さんざ疲れても、僕にはまだこれからタイトル撮影用のフリップ制作と小道具のチラシの直しという作業が待っています。でもとても弱音は言えん!撮影を終えてふらふらになってる僕らを前に、撮影助手の方に「楽な撮影だったー」と言われてはね。ははは、まだまだ余裕で働けますよ僕もー!うわーい!

やべえ、ジャック・ジョンソンの新曲が良すぎ。買ってしまうかも。

2月20日

中島スタジアムこと、クリエイティブアウォード2005の日。3時間弱で60本近い作品を観る。まあみんな3分以内なんだけどね、きついわ流石に。で、結果は、僕のは以前実習で作った映画の3分バージョンとヒルトンの素材で作ったPV2本が出品されたけど、どちらも…まあ…ね、次があるさ、と。頑張ろう。

それでもやっぱりアマチュアとはいえ、60本もあればそれなりのレベルの作品もチラホラありました。首を傾げたくなるのもいくつかあったけどさ。むしろそういう人はこれから向上していく余地があるわけで、とりあえず自分の「良くも悪くも無い」という中途半端な部分を何とかしていかなくてはならん、とまあ、こう思ったわけです。頑張ろう…。

とりあえず、明日は35ミリの方の撮影です。ていうかもう寝ないとやばいです。しかし、ドキドキして眠れん!あんな鋼鉄の塊を持って撮影できるのか僕は!?ていうか露出計算は!?そしてマガジンチェンジは!?あー駄目かもー。と、とりあえず寝ないと!おやすみ!

2月19日

あでででで。頭イテェ。

というのも、一日中ひきこもって撮影用の小道具を作っていたから。生命保険のチラシなんですけどね、レイアウトやらなんやらで結局一日中モニタの前に座ってました。とりあえず生命保険関係の情報を集めまくって、キャンペーンなんかもチェックしたりして。で、架空のチラシを作るべく、時には文章を捏造し、時には画像をコピペし、レイアウトを決め映ってはマズいものが入ってないかチェックしたりと、パッと観普通なんですが実は色々手塩にかけて作り上げたわけです。我ながら頑張った!

でもまあ、これ、画面に映らないんですけどね(たぶん)。映画というのはどんなスターが出ていようと、こういうささやかで涙ぐましい努力に支えられていることを忘れてはいけませんよ!

2月18日

もうすぐ撮影開始なので、ひたすらミーティング→書類作成→マガジンチェンジの練習→撮影プラン検討その他色々→ミーティングの繰り返し。そう、今回はフィルムということで、マガジンチェンジがあるのですよ。簡単に言うと、撮影したフィルムと新しいフィルムを、裏返した黒いトレーナーみたいな奴に突っ込んで、手探りでフィルムを入れ替える、みたいな。ここで光が当たったら全部オシャカなので、絶対にミスできないわけです。今回はふたつの作品で、それぞれ助監督と撮影を受け持つので、もうてんてこ舞いですよ。助監督は諸々のスケジュールとかの書類作成とか、小道具の作成とか事務的な仕事からクリエイト的な仕事まであるし、35ミリでは撮影も担当なのでカメラの組み立てからフィルムの扱い、さらには露出計算まで覚えなくてはいけないわけでしかも16ミリでは何故か照明のプランニングまでしなくてはならないわけで、ええと、もう無理だ!特に露出計算!わーい!わけわからん!

ていうかですね、アリフレックスの35ミリキャメラを一度担いだら、もうどんな映画の悪口も言えなくなりますって!手持ちで30秒担いだだけで汗がやばいくらい出ます。クリストファー・ドイルの腕が何であんなにぶっといのか分かった。たとえ被写体がトム・クルーズだろうとスティーブン・セガールだろうとヴァン・ダムだろうと水野晴郎だろうと、あのキャメラを担いで撮影したのならもう神ですよ。みんな、あの映画ダセーとか言う前に一度担いでみろって!いや、ほんとにスゲエと思いますよ僕は。そういえば、今年はセガールの「沈黙シリーズ」の正統な続編が企画中だそうですね。日本の映画会社が勝手に付けた「沈黙」ではなく、あの世界最強のコックが帰ってくるのですよ。まあね、セガールは何をやってもセガールだけどね。首の骨折るけどね。それがいい。

あと、結局誘惑に負けてテリー・ギリアムの『12モンキーズ』を購入。タワレコに無くなってたからわざわざHMVまで行って買ってきた。観る。涎垂れ流しでラリ演技のブルース・ウィリスも、眼をひん剥いて飛び跳ねるブラッド・ピットもすごいけど、35ミリキャメラを一度担いだ身としては、あのユラユラ揺れるカメラワークに一番感動したよ。レンズのチョイスがもうなんかもう上手くて!どうやったらあんな映像が作れるんかいな。でもストーリーはやっぱ鬱だったよ!

ところで、撮影のために10日以上バイトの休みを取っているわけですが、果たして来月の生活は大丈夫なのでしょうか!?相当ヤバイことになってるのですが!ですが!

2月15日

今日は暖かかったね。

今回の映画の小道具である自転車がまだ見つからん。車とクラッシュしてダイ・ハード張りに破壊される自転車なので、ぜひとも中古で手に入れたいところ。で、「高円寺で1000円の自転車を見た!」という同級生の証言を元に、彼とふらふら歩いて高円寺へ。合流する前に、映画で使わせてもらう近所の書店に挨拶に行く。万引きするシーンなのでチェーン系は敬遠されるのですが、そこの書店は非常に好意的な対応でいいね。行く前に電話したら、「ああ、あの万引きの…」とか言われたし。それじゃあまるで僕が万引き犯みたいじゃあないですか!

高円寺は、何度か飲みに来たりロケハンで歩き回ったりしたけど、休日にメインストリートをゆっくり歩いたのははじめてかも。旧来型の商店街と古着やレコードのショップの割合が非常にいいですね、この街は。どちらが多すぎても少なすぎても居心地が悪くなるギリギリでいい感じだと思う。で、件の自転車なんですが、確かに「1000円」とか「2000円」とか書いた紙が貼っつけてあるんですが、実はこれ、売り物でないことが判明。修理に引き取った自転車に、その経費を書いて売り物と一緒に並べてあっただけとな!確かに、よく見るとそこら中に「修理の大好きなお店です!」とか書いてあるわ。だが…だがしかし…。わッかるかボケェ!修理好きにもほどがある!

で、自転車探しベクトルのテンションは落ちに落ちて、結局リサイクルショップを探しながらふらり散歩状態。御日柄もよく、実にいい感じ。とりあえず目に入った路地に片っ端から入っていきまして、久々に路地裏探検とかしました。ふらっと入った古本屋で軍艦島の写真集と映画関係の書籍を数冊購入。かの『のらくろ上等兵』も置いてあったのですが、金が尽きて手が出せず。残念。あと、いい感じのレコードショップも見つけたのでまた今度行ってみよう。あーみんなが高円寺を褒める理由がわかるわ。楽しいねここ。結局、路地裏から路地裏を渡り歩き、目に入った雑木林に分け入ったり、そこで小道具の落ち葉をかき集めたり、妙法寺でひと休みしたりして、久々に休日らしい休日を過ごせました。やっぱ休日ってのはこうあるべきだよな、うん。

帰る前に、彼の家でコロナを飲みながら、ダニー・ボイルの『普通じゃない』を観る。う…む…?すげえ脚本だ。なんかもうキャメロン・ディアスとユアン・マクレガーを色々こねくり回した挙句、どうにもならなくなってどうにもなんともな強引なオチをもってきたような映画だった。ダニー・ボイルはもうちょっと脚本選びに慎重になった方がいいのでは…?いや面白かったけどさ。いろんな意味で。

2月14日

三連休?バイトだ!

徹夜でスケジューリングをして、近くのコンビニで買った10枚で600円もするフロッピーに入れて学校に持っていったら、データがぶっ壊れていた。

帰りがけに、ディスクユニオンで思わずクリス・マルケルの『ラ・ジュテ/サン・ソレイユ』のDVDを買う。正直なところテリー・ギリアムの『12モンキーズ』を買おうと思っていたのだけど、突発的にその原案元である『ラ・ジュテ』の方に手を出してしまった。『12モンキーズ』はノベライズを高校生の頃に買って読んで、ひどく陰鬱で気が滅入った記憶があるのだけど、なぜか頭の片隅にずっと残っている。今思うに、たぶんあのノベライズはすげえ面白かったんだのだけど、当時の僕がそこまで追いついていなかったんではないかな。そのせいか、いつも観よう観ようと思いつつ、結局いまだに観ていなかったりする。映画版は僕の好きなデビッド・モースも出てたはずだし、こういうのは勢いが大切なのだけどね。どうも勢いハズしてばっかり。

で、今回もクリス・マルケルを先に観ようと思ってしまったわけなんだけど、むしろ一緒に入っていた『サン・ソレイユ』がヤバかった。すげえ。世界を放浪するカメラマンが撮影したという設定の日本を中心とした色んな映像を編集して、そこに手紙の内容の形而学的な朗読を入れた形式のセミ・ドキュメンタリーなのだけど、もうなんかすげえや。すげえよ。タルコフスキーが『惑星ソラリス』で日本の首都高を近未来的なオブジェクトとして配置したのと同様に、外国人によって切り取られた「あの時代」の日本の風景ってのは懐かしさを通り越してもうすでにSFの域。しかもまたこの編集の仕方が神がかっていて、延々祭りのリズムと踊る人々のコラージュなんかはもうなんか超カオス。徹夜明けの頭と相まってユラユラで最高。しかし一番吹いたのは、お好み焼き屋の「山田さん」の手さばきを「アクション・クッキング」と称して、そこに「哲学や武術に通じる概念を思索」してしまう辺りだったりする。ああ…クリス・マルケルは天才だ。いやマジで。

2月11日

ん?風邪直ったっぽい。煙草が普通の味に戻ったから。昨日くらいまで酷い味だったからなあ。じゃあ吸うなよ!

バイトが終わった後、大学のサークル仲間で飲み。約1年ぶりに会う子なんかもいましたが、全然変わってなくてなんか安心しました。…ある本で「変わったねって言われて喜ぶのは若い女だけよ」とかいう台詞がありましたが、この場合はいいんだろうか。まあいいや。

『ローレライ』のサントラを聴いております。ネットで一部分を視聴したときは、なんかゲームミュージックっぽいなあと思ってたんですが、まあCDで聴くとそれなりに違いますわ。音楽を担当した佐藤直紀は、『オレンジデイズ』とかのドラマ音源や映画『海猿』などを作ってたらしいのですが、僕は『オレンジデイズ』はおろかここ数年はろくにドラマを見てないので彼の音楽がどのようなもんかよく知らんかったわけですが、まあ見事に原作者の趣味というかハンス・ジマー節。やはり本家に比べると格がひとつ落ちる感は否めませんが、邦画音楽にしては頑張った方だと思いますよ。偉そうに言ってますが。『イージス』の方は、当初の予定通り音楽と編集をハリウッドに依頼ということで、作曲家は大御所トレバー・ジョーンズに決まったようですね。裏話によると実際にハンス・ジマーにも交渉を行っていたようですが、いい加減劣化版のジマー音楽が世に溢れ過ぎていて、逆に観客が「またか…」という反応になることを考慮してトレバー・ジョーンズに決まったようです。ジマーの手がけるサントラが近年、本人の元々の音楽ルーツでもある民俗音楽に回帰しているのも、ある意味ストリングスによるオーケストレーションがもう彼によって完成され尽くしてしまったことを意味しているのかもしれません。

で、編集の方は『トゥルーマン・ショー』などを手がけたウィリアム・M・アンダーソン。カッティングのセンスひとつで映画の出来自体が相当に変わると思われますが、それに加え、色彩調整も向こうでやっているようです。邦画と洋画で色の質感が全然違うということは以前から疑問に思っていて、色んな人に話を聞いたところ、フィルム現像の違いや撮影場所の気候の違いといった説を聞きましたが、どうも西洋人と東洋人の眼の構造の違い自体にその辺が関わりあるようです。向こうの人間がちょちょっといじるだけで、見事にあのハリウッド映画のカチッとした質感になるんだそうな。邦画というのは結構ぼやけた色彩を好んで使う傾向にある気がしますが、西洋人の目の色素から観ると、ちょっとキツイかなーっていうギリギリくらいの質感になるんだそうな。へぇ。なかなか奥深いものですな。

2月10日

風邪を治すスタミナつけるために、同僚と焼肉!もうお腹いっぱいー!ていうか、またもや奴は9000円近く出してくれた!何?お前の財布は4次元ポケットですか!?22世紀の科学力はお金を無尽蔵に生み出せるとでもいうのか!?とりあえずありがとう!あと、その牛○が最近、携帯でネットにアクセスして質問に答えると色々当たるかも!?という企画をやってるのですが、ひょんなことから無限にドリンク1杯サービスの裏技を見つけてしまった!そして毎回ドリンク1杯無料の同僚!何!?お前の携帯は4次元ポケットですか!?22世紀の…いやまあいい。とにかく、こんな粗の多いシステムで大丈夫か○角!?

さて、バイトをしておりましたら、目の前の道路を「超科学☆心霊教」という看板を載せたバンが走っていきました。え…何?科学なの?霊なの?もうね、あまりのことに、近くにいたバイト先の先輩に、「あの、あれ?今、え?大変だ!超科学で心霊が…」とわけのわからんことを口走ってしまいましたよ。さすがは摩訶不思議ワールド江東区!ていうかこんなあからさまなアレに引っかかるバカはいるのか!?あと、「自然界との共存と共生」という看板を載せた4駆が、バリバリの軍歌を流しながら走っていったときも心底ビビった。ドアには日の丸と「大日本青年なんちゃら」とか書いてあるし。なに?え?何が言いたいの!?エコロジー右翼?みんな慣れてるのか、平然とした顔で仕事してるし。ええー。おかしいよそれ!みんなさ、慣れていいことと悪いことってあるじゃん!?あー流石は魔都東京だ。何が起こるか分からん!

というわけで、この狂った街で明日もバイトです。はやく風邪治んないかなー。

2月9日

へこー。風邪治りかけで雨の中仕事したらぶり返してきたー。うああ。

というわけで、今日は学校サボって一日中安静に…できねえー。とりあえず午前中まで寝て、午後から撮影用の自転車捜して右往左往してきました。放置卸の線を狙って電話したら、役所やら障害者支援なんとかやらをたらいまわしにされた挙句、一律9000円とか抜かしやがる。元値タダの中古自転車なのに、なんでそんなに吹っかけるかなあ。どうしたもんかね。予算5000円らしいけど、今時そんな値段で自転車が手に入るものなのかいな?同じ撮影用の自動車の方が、講師独自のルートであっさり決まってしまうというこの理不尽さ。やれやれ。

どうにもならんので、ぼんやりする頭でソダーバーグの『オーシャンズ12』を観てきました。面白かった…ような?う…む…ぼんやりしててよく覚えてないけど、ジュリア・ロバーツが掟破りの「あの人」の役をやってたのには心底驚いた!これは…いいのか?さらには某俳優も「あの男」の役で出てたし。こんなにたまげたのは『シベリア超特急』のオチ以来かも。うーむ。ジュリア・ロバーツはすげえなあ。すげえかわいい。そっちかよ。

あと、本編の前に流れてた日清のCFが結構よかった。ミスチルの曲を背景に、一面の花畑がずーっと映ってる中に錆びてボロボロの戦車が鎮座してるやつ。往年のジブリを実写化したような感じだった。ってまあ『ラピュタ』のロボット兵のことだけどさ。カップめんと反戦がどこでどう繋がるのかよくわからんけど、日清の最近のCFはなかなかスタイリッシュでいいね。

とまあオチもクソも無く今日の日記終わり。明日も明後日もバイトだ。死ぬ。うそ。死なないかもしれないけどやんなっちゃう。休み欲しい。ふう。

2月6日

風邪風邪と言ってたら、案の定風邪ひきました。昨日は関節痛い、喉痛い、体ダルイと見事に初期症状。でもバイト。

昨日のバイト帰りに銀座線で死にかけてたら、隣に乗ってきたオバハン2人組の片方がずーっと何かを騒いでます。どうも歌舞伎でも観てきたらしく、もう片方のオバハンに、「ねぇ、私のところから見えた七之助君がね、もうすっごくかっわい〜のォォォ!!」と連呼。もうね、他の乗客も連れのオバハンも全員苦笑顔。風邪ッぴきの僕にしてみれば、とてもじゃないですが苦笑どころではないですよ。オバハンが興奮気味に「かっわい〜のォォォ!!」と叫ぶ度に脳味噌を千枚通しでグサグサやられてるような気分ですよ。てめ、かっわいーのーじゃねえよ…お前もアレだ、顔面2発殴られろよ七之助君に…。ていうか誰か彼女を止めてあげて!

…という有様でしてね、結局銀座から乗り換えの赤坂見附までずっとこんな調子で。しかも赤坂見附で彼女らも降りて、オバハンホームでもずっと叫び続けてるし。響き渡る「かっわい〜のォォォ!!」から出来るだけ離れた車輌に乗り込んだのは言うまでもなし。まったくもう!で、そのまま新宿で郵便局勤務の元同僚と休みだった同僚とまたもや飲み。あーやべえ、ここんとここんなんばっかりだ。ていうか、たった1週間しかたってないのに「懐かしいな!元気だったか!みんなも元気か!?」とか聞くなっつーの。

で、今日。バイトもですが、このままだと撮影に響いてしまうので、飯を食った後、いつものようにアリナミン錠を1発キめたわけですよ。そしたら直りました。30分くらいで元気爆発。いつも以上にハイになったあと、多少鼻がぐずつく他はほぼ全快。さすがアリナミン錠だ。いい仕事するね。僕が服用してるのは「新アリナミンA」なんですが、さらに高価な「アリナミンEX」なんか使ったらどうなってしまうんでしょうか。空とか飛べるかも。

2月3日

バイト。慣れているとはいえ1日で2回も車に轢かれかければ気分も萎えるというものさ。あのa○pmの店長、いつか人身事故起こすね。間違いないね。ていうか被害者は僕か?

バイト先で風邪が大流行!みんなキャシャーンのようなマスクを被り、死にそうな顔でうろうろと勤務している。『ドーン・オブ・ザ・デッド』とか『バイオハザード』のゾンビのほうがまだ元気といった状態で、ただでさえ現任教育で人手が足りないのに、もはや病欠早退続出でシフトもままならぬという壊滅状態。僕に出来ることといえば、小学校の頃に習得したバリヤーで病人をからかうことくらいですわ。みんなバリヤー知らない?あ、そう。まあいいや。とにかく、警備室が地下ということもあって、空気は淀み雰囲気も淀んでよろしくないですね。みんなアリナミン錠を飲めばいいのにね。3錠放り込むだけで風邪なんざイチコロですよ。しかし、このクソ忙しい時期に感染されでもしちゃかなわんわい。みんなも風邪には気をつけよう!

ていうか何が言いたいのさ僕は。

2月2日

忙しい。おお忙しい。忙しい。師走か!?

とまあ、定期的に書いとかないと、ただでさえ少ない読者に見捨てられてしまいそうで怖いね。というわけで忙しいです。ていうかもう数日前のことなんて覚えてねえよ。どうしよう。ひとつ思い出してみっか?

1月28日は学校の新年会をやったような。27日も確か新年会だったような。以前撮影で使った同級生の医師の部屋で、退職した元学科主任を囲んで飲みました。学科主任のお方がレミー・マルタンを持ってきてくだすって、それがすげえ美味くてありがとうございます、と。医師の部屋にはプログレッシブテレビとかDTSサラウンドシステムとかスクリーンとかプロジェクタとかあって、同じ静岡県民でもこうも違うのかとハンカチの端を噛み千切るくらい嫉妬しますわ。ハンカチなんて持ってねーけど。で、ヤン・デ・ボンの『スピード』とかサイモン・ウエストの『コン・エアー』といった我が青春の断片を(主に一人で)観ておったわけですが、終電も近くなって帰ろうとした頃には、泥酔した男に足を掴まれてそれを引きずりながらエレベーターを降りたりと非常にアクション豊かな飲み会でございましたよファッキン。2日も続けて泥酔者の相手なんかしてられっか!

1月29日は一応休日だったのですが、朝から部屋の大掃除をして、午後から昨夜の泥酔者、実は今学期の監督と共に高円寺周辺でロケハン。高円寺まで近いとはいえ、睡眠不足の男と共に地図を片手に2日酔いのからだを引きずって歩き回るのは、それはもうしんどいことでございますよ。結局いくつかのポイントを写真に収め、暗くなるころようやく高円寺経由で中野まで。そのまま映画を観に行こうと思い立って新宿へ行ったのですが、予告編が意外に面白そうだった青山真治の『レイクサイド・マーダーケース』を観ようと思ってたら、新宿ではやってねーでやんの。ていうか首都圏周辺では日比谷とお台場くらいしかやってない!おい!仮にも柄本明とか役所広治とか大御所出演の作品に対してそれは無いんじゃないの!?人に見せる気あんのか青山真治…。もうなんかめんどくなって、しょうがないからディスクユニオンでクリストファー・ノーランの『メメント』のDVDを買って帰る。家に着く前に、近所の書店にロケーション協力のお願いに。ついでに松本次郎の『フリージアD』を買う。トシオの散り様に涙。疲れた。

1月30日はバイト。疲れた。31日は学校で打ち合わせ。夜、クリスマスにケーキを食わせてくれた同級生の家で、今度はお好み焼きを食わせてもらいました。もちろん彼女さんも同伴だ!ていうかあの部屋は彼女さんの部屋だ(った)!ううい。部屋に入る直前、脚本の件で監督とまた長電話。寒かった。翌日は早番だったんだけど、ビールを飲ませてくれて、やっぱりというか遅刻した。缶の発泡酒1本なのに!弱ッ!

2月1日。バイト。4分遅刻。まあいい。帰ってからまた監督と長電話。今回は16ミリと35ミリをやるんだけど、僕は16ミリは助監督、35ミリは撮影という役回り。件の電話は16ミリの方の監督なわけですが、よく飯を喰いに行ったりする男なので、結局助監督の本業であるスケジューリングに加え、脚本の相談、役者の交渉、ロケ地選定、照明、撮影プラン協力、その他もろもろともう一体なんなのかよく分からん。役者の方は、今回一人の役にある大物を起用したいと僕が言い出したため、結局その役に関しては僕が電話するハメになったわけで。残念ながらその役者は駄目だったんですが、まだ何人か残っている候補はやっぱり大物ばっかりで胃が痛い。早く決まれー。

で、昨日さんざ話し合ったにも関わらず、本日来ていただいた講師に脚本を全体的にダメ出しされ、結局一から改稿する事に!うああい!終わったあと、そのまま学校に残って東北新社が主催する中島スタジアムなるコンペに出品する作品の編集。実質的には昨年の実習作品の3分バージョンを制作して出品するわけですが、まあ本音を言えばどうでもいい感じだったんですが、審査員に『ローレライ』の樋口監督がいたので慌てて本腰を入れる。やべえ!氏には、かつて恐れを知らなかった大学時代に、作った映画を手渡すという離れ業をやってしまったわけで、その恥ずかしいアレを払拭しなければ!無理だ!うわい!

とまあ書いてみたら、最近は実質的に飲み会ばっかりという阿呆な感じに。やばいやばい。もっとしっかり生きよう。