LIFE LIKE BLUE

Diary Log-2005-08

8月29日

どうも、バイト先から駅まで5分ほど全力疾走(でも遅い)したところ、息は絶え絶え、はやくも筋肉痛の恐怖に怯える僕です。肺もやばかった。オエッてなった。ああもう!煙草やめる!今すぐやめる!ごめん嘘!

というわけで、必死こいて走ったのは、注文していたこれを受け取るためでした。いやあ、注文した翌日にもう到着って、いい仕事しすぎですよアマゾン。つうわけで、また高い買い物をしてしまったわけですが、改めて部屋で落ち着いて観るとわりかし良く出来た映画だと思いましたよ。やはり劇場ではじめて観たときは色々と唸る部分もあったわけですが、さすがに3回目でそういったあたりに慣れると、ごく普通に楽しめました。佐藤隆太のアレもあまり気にならなかったし。まあアレはアレでアリかと。

でもやっぱり気になったのは、写真の件とラストですかね。あの写真を撮ったシーンが描かれていないと、なんかこう落ち着かないというか。映画では食堂のシーンあたりに来るのがしっくりくるんですがね、やっぱり繋がりという点では欲しかったかなあ、と。そしてラスト。こっから先はちとネタバレしますが、やっぱりイ507の沈没、ないしはそれを臭わせる描写がもうちっと欲しかった!樋口監督のコメンタリーでは、日本の従来型の戦争映画にありがちなお涙頂戴の悲惨さを回避するため、と申しておりましたが、そういう涙とこの涙は違うと思うんですわ。別に戦争は悲惨だね、という「火蛍の墓」的なものではなく、男泣きの涙というか、そういうのが欲しかったのですよ。でないと、役所広司の最後の台詞も生きてこないしね。絶望を描いてこそ希望が際立つというか。まあ、ここでうだうだ言っても仕方ないんで止めますが。まあ総じてみてもよく頑張った映画だと思います。3本の中では一番エンターテイメントという部分を前面に出したところも良かったんではないかと。

ブライアン・イーノの『ANOTHER DAY ON EARTH』二十ウン年ぶりにイーノがヴォーカルを披露ということですが、予想外にダンディな声でビビった。オペラのテノール歌手みたいな声をしている!イーノといえばアンビエントの祖、ということで知られていますが、そもそも彼がアンビエントというジャンルを生み出すに至った経緯というのがまた面白い。入院して退屈していたイーノに友人がハープのレコードを持ってきてくれたが、スピーカーの調子が悪く、片方しか音が出なかった。しかし、そのか細い音と窓の外の雨だれの音が妙にシンクロして、イーノにはそれがまるで音楽ではなく環境音の一種のように聴こえたそうな。そこから彼は、ラウンジ・ミュージックとしてのアンビエントを思いついた、ということらしいです。うーん、やっぱ天才は考えることが違いますね。この前僕のスピーカーの線が外れて方音しか出なかったときは、原因を突き止めようとそこらじゅうをひっくり返して、とてもそこから流れている音楽を聴くどころではなかったりして。ちなみに、ブライアン・イーノはU2と組んだ「パッセンジャーズ」という映画音楽メインのバンドをやっていたこともあり、押井守の『GHOST IN THE SHELL』のUS版エンディングに曲を提供していたりします。和声を前面に出したオリジナルと違ってテクノ調ですが、これはこれで英語音声にバッチリ合ってます。なかなか多才な男ですね。

8月26日

テレビが無いのでしょうがないからラジオを聴いていたところ、「外国人のための日本語講座」というのをやっておりまして。今回の日本語は「お天道様に申し訳ない」。お天道様に申し訳ない…。むぅ、難易度高けぇー…。ていうかこれ日常用語か?ギャグか?しかし、講師役のDJは淡々とした口調で、太陽が日本人にとっていかに崇拝すべき対象であるかをとうとうと語っております。英語でいうところのアイシェイムなんとかかんとか。さらに彼は、使用例として自分が昼間から酒を飲んだときのことを話し、ここぞという感じで「お天道様に申し訳ない」と。それではみなさん、ご一緒に「お天道様に申し訳ない」。その瞬間、僕の脳裏には何故か、サムライ装束でラジカセの前で正座しながら「オーテントサマーニ、モーシワケナーイ」と呟くイスラム系の男が浮かび上がりまして、思わず口に含んだジャスミン緑茶を噴出しかけました。いささか発想力が貧困なのは否めませんが、この瞬間何人の外国人がラジオに向かって「オーテントサマーニ…」と呟いたのか、想像するだに笑いがこみ上げてきます。まあね、日本人の英会話講座も、大の大人が真剣な顔で「ディスイズアペン」とか言ってるわけですから、向こうからすればどっこいどっこいなのかもしれませんがね。しかし、就職もせずにうだうだやってる身としては、お天道様はもとより両親様にもモーシワーケナーイ、というわけで僕です。長い前振りでモーシワーケナーイ。

さて、もうすぐ総選挙ですね。せっかく選挙権を持っているのに一度も権利を行使していない僕としては、今度の選挙にはぜひ投票したいと考えているわけですが、なにせ住民票は実家。帰省しなくてはならんわけですよ。まあバイト辞めて時間ができるので、来月あたり、顔見せついでに帰省しようかとも考えてるんですが。しかし候補者も知らんのに投票なんかできるのかいな、と。候補者がどんな人間なのかわからないと、やっぱり難しいですね。特にひいきの政党があるわけでもないし。ところで、もうずいぶん前になるんですが、僕のバイト先の区で区議会議員選挙がありまして。僕とはあんま関係ない選挙な上に、議員先生がバイト先のホテルでパーティやったり選挙カーがうるさくて仕事がやりづらいわで、まあハッキリいって敵視してたわけですよ。ある日、いつものように候補者が自分の名前を連呼しながら僕の前を通りかかって、まあいつものように腹の中で中指立ててたわけですが、そのときちょうど、僕の後ろの方でベビーカーを押してる二人組の奥様が散歩してまして。そしたら、その候補者が一瞬素に戻って、トーンを落とした声で「ありゃ、起こしちゃったかな?」と。その瞬間、なんかわかりませんが、とてもその候補者に感動しまして。すげえ些細なことですが、ちゃんとそういうとこを見てるってこととか、それがボソッと口から出てしまう愚直さとか、そういうことが。なんか直感的に、「ああ、この人はきっと根がいいひとなんだなぁ」と思ったわけですよ。まあ実際のところは知りませんがね。そのあとちゃんと声が響かないところまでおとなしくしてて、そのまま走り去ってしまったわけですが、その後僕はその候補者に悪いイメージはなくなったんですよ。報道される選挙のニュースってのは、いい意味でも悪い意味でもイベント的、あるいは候補者のタレント的な部分ばかりですが、それはあまり判断基準としてはどうかと思ったりします。まあ公約ってのが一番の判断のしどころなんでしょうが、僕としてはやっぱり、あのときのようなふとした人間的な部分ていうのがすごく重みがあるわけですよ。まあ、政治家としてどうかとか、公約がどうとかは関係なかったんであまり知らなかったんですが、もし自分があの選挙で投票するとしたら、たぶんあのときの印象っていうのは非常に大きい要素になったんではないかと。そういうふとした直感っていうのは大切にしたい、まあ要はそういう話でした。なんかやっつけなまとめ方でモーシワーケナーイ。

8月24日

『ミッション・インポッシブル3』の最新画像ということですが、あの、『M:I-2』あたりで薄々感じてはいたんですが、あの、お前スパイじゃねぇだろ。

アン・マキャフリーの『だれも猫には気づかない』を読了。舞台は中世、有能な摂政亡き後、彼が残した一匹の猫が若き領主を助け国家の陰謀を暴くという、中世版『吾輩は猫である』。中篇なのでかなり物語の進行が早いのですが、それを置いても主人公の猫がかわいい。まあ、ファンタジックな要素はあるにせよ別に猫の一人称で語られるわけでもなく、猫はミャアとかミィとか鳴いてるだけなんですが、それがまたかわいい。テーブルの下でご馳走の分け前をもらいながら、引っ掻いたり丸まったりと猫らしく活躍する様は世の猫愛好家のハートを鷲掴みですよ。まさしく猫版忠犬ハチ公といったもので、果たしてこんな説明で内容がわかるのかどうかも怪しいところですが、とにかくハインラインの『夏への扉』と並ぶほど猫好きにはたまらない一冊であること請け合い。僕の顔を見ると(最近は帰ってくる気配だけで)逃げ出す僕の実家の猫も見習ってほしいものです。

8月23日

どうも、お久しぶりでございます。気付けば2週間も放置でございます。今月の日記の最初の方を読むと、今月はちゃんと更新します的なことが書いてありまして、ええとその、申し訳無い!なにやら色々書きたいこともあったような気もしますが、すべて忘れ果てました。今日からは心を入れ替え、真面目に更新しようと思います。できればいいな。

さて、近況ですが、もうね、ずっとバイト。バイト以外は撮影。撮影終わってまたバイト。でもまあ、働けばそれだけ金になるんだからまだマシでしょうか。どれだけ働いても、ソヴィエトの労働者は国家に給料を持ってかれてしまうんですね。それが共産主義クオリティ?いや、まあよう知らんけど。実はですね、今月いっぱいでバイト辞める予定でして。実際のところ、学生でいられるのもあと半年かそこらなわけで、このままやってると永遠の警備員で一生を終えてしまいそうな空気なのでね、そろそろ本腰入れて身の振り方を考えねば、と(いまさら)思いまして。とりあえず、一ヶ月やそこらは死なない程度にお金を貯めなくてはいけませんのですわ。というわけで、今日で休み無しの十日目、明日も明後日もその次もバイトですよ。まあ、1年前のように、ことあるごとに休みが欲しいなどと言わなくなっただけでも成長したと思いたい今日この頃。頑張って僕、無駄遣いしないで僕!

いまさらながら、ローランド・エメリッヒ監督の『デイ・アフター・トゥモロー』を鑑賞。某映画監督が「内容はクソだが、最新鋭VFXの見本市のようで興味深かった」と仰られていましたが、まさしくそのとおり。まあストーリーを説明するのもアレですが、要は地球温暖化が原因で突然地球に異常気象が勃発し、あれよあれよという間に巨大な竜巻がロスを粉々にしたり、巨大な津波がニューヨークを飲み込んだり、それが全部凍りついたりしてみんなが酷い目にあうというものです。まあお約束といえばそれまでですが、そこに父と息子の絆がどうの、息子が惚れた女の子との関係をどうの、といった感じ。そっちの方はまあ、ぶっちゃけどうでもいいんですが、とにかくCGの技術はすごい。もうなんかそこらじゅうがぶっ壊れまくりで、僕の破壊衝動的な部分がテンション上がりまくりです。人間誰しも、カタストロフィに対するある種の憧憬を潜在的に持っているというのが僕の持論なんですが、どうも最近は世間的に、ただ単純にドカンバカングシャーだけでは満足がいかないようで、「『宇宙戦争』はクソだった」と仰られる観客は、そういった破壊の美学に対して耐性がついてしまったのではないかとも思うわけです。僕なんかはドカンだけで一気にヴォルテージ上がるのになあ。まあ確かに、そういったVFXがあまりにも大量生産されすぎて、今では車のCMですらなぜか竜巻と追いかけっこしたりというのを日常的に見せられては、いまさら地球の半分が凍結する程度では驚かないのも道理ですが。どうでもいいけど、主演のデニス・クエイドとその息子を演じたジェイク・ギレンホールの笑ったときの顔の形があまりにもそっくりで、むしろこれこそVFXで造ったのではないかと思ったり。

矢作俊彦の『真夜中へもう一歩』を読了。矢作俊彦というと、どうしてもあの「闘争」の赤い方を思い浮かべがちなので、主人公が刑事というのにどうもしっくりこないんですが。まあそれは置いておいて、タイトルからしてチャンドラーへの畏敬の念を感じ取り、実際ストーリーはまごうことなき旧き良きハードボイルドのそれなのですが、矢作俊彦の文章は実に、その、難しいというか…時代的な部分も含め。矢作俊彦を読んだのは久しぶりだったので、すんなり読み進めるのが大変だった。でもまあ、とりあえず面白かったので、これを機に一作目の『リンゴォ・キッドの休日』と三作目の『ロング・グッドバイ』も読んでみようと思います。

8月10日

ええもう毎日バイトバイトですよ暑いですよファッキン。

ネットでアオカナブンのことを調べてみる。体長25〜29mm。体の色は美しい緑色をしていて、体はやや細身。幼虫は朽ち木などの腐植物を食べる。成虫は樹液をなめるようにして食べる。樹液を…樹液!?缶の中を覗くと、ボロボロになったキュウリが散らばっていますね。キュウリ…キュウリ?



て、てめぇ、いったい何者だ!?

改めて観察しようとしたところ、ウンコをブリブリと僕の手に引っ掛けて、自分の家の土の中に消えていきました。このやろう…。

桜坂洋の『スラムオンライン』を読了。薄かったのであっという間に読み終わった。この著者の『All you need is kill』は神林長平を髣髴とさせる(事実、神林長平が推薦文を書いている)ハードコアなタイムループモノのSFだったけど、今作はオンラインゲームを題材としたSF…とみせかけて実は青春モノだったりして。何故『All you need〜』がライトノベルでこちらがハヤカワなのか。逆だろう普通。講談社ノベルズがライトノベルの潮流に完全に席巻されてしまい、他の出版社もこぞってライトノベルの流れに乗ろうとしている今、せめてハヤカワだけは本来の硬派SFという流れを貫き通してほしいものですが…。最近ちょっとラインナップがユルいような…気も…。

8月8日

最近のあれこれ。

6日。
バイトを休んで、新宿は紀伊国屋書店で開かれた『亡国のイージス』公開記念・福井晴敏サイン会へ。正直サインはもういい。本はおろか、サイン入りのゼニガメ人形やレトルトカレーの空き箱まで転がっている始末。カレーの中身は喰いました。大変おいしかったです。それでも行くのは…なんでだろ?習慣?ちなみに、僕の「TWELVE Y.O.」と「亡国のイージス」の単行本には、『オーバーマン キングゲイナー』というアニメのキャラクターデザイン及びコミック版を執筆しておられる、中村嘉宏氏の手によるザクレロとザクUも描かれております。わけがわかりませんね。これは中村氏が、かつてE○IXの今は無き某雑誌上にて、イージスの漫画版を数回だけ連載したことがありまして、その関係で飲み会に参加されたときに描いていただいたもの。というより酔った勢いで描かされたというか。まあ、そんなわけで、本を開くと福井さんのサインと並んで、なぜかザクレロが鎮座しているといった次第でございますよ。

その後、スピルバーグの『宇宙戦争』を鑑賞。ずいぶんと酷評されているようですが、個人的には、もう人から車からビルまで爆発爆発でとてもよろしかったです。あーバイト先の建物もあの調子で爆発してくれないかなぁ。人間ドラマとかもうほんとどうでもよく、ただひたすらに破壊のカタルシスを味わう映画。ぜひ劇場で観て!
映画館を出た後、コージさんと午前2時まで飲み明かす。

7日。連休ですよわぁい。久々に布団を干したりして、休日らしい休日。家から出ないのもなんなので、再び新宿でマイケル・ベイの『アイランド』へ。もう人から車からビルまで爆発爆発でとてもよろしかったです。バイト先の…えーと、マイケル・ベイは底無しのアホ監督ですが、カーチェイスの描き方は神の領域です。『バッドボーイズ2』ではキャリアーから車をばかすかブン投げてひたすらクラッシュさせてましたが、今回はなんと馬鹿でかい貨物列車の車輪。巨大なダンベルのごとき鉄塊がこれでもかとぶっ飛んでいくのは、もうね、アドレナリン出まくりですよ。なんといっても下手にブルーバックやらデジタル合成に頼らず、ほとんどが実写というのが素晴らしいです。よくあの撮影で死人が出ないもんだ。スタントマンこそクローンじゃないのかと疑います。ストーリーはほとんど思い出せませんがね!覚えてるのはスティーブ・ブシェミがエロ本読んでるとこばかり。

8日。バイト。黒沢清の『CURE』と北野勇作の『どーなつ』を読了。『CURE』は、映画で曖昧に描かれていた萩原聖人演じる間宮の背景や、役所広司扮する高部刑事の内面も書き込まれていて、映画とは違う角度で物語が見れる。映画は暗示的な映像から想像させる面白さがあったけど、小説はそうした部分を補う形でうまく出来てるなあ、という感じ。北野勇作は初挑戦でしたが、見事にわけがわからん。悪い意味ではなくて、共通したイメージや登場人物、ガジェットによる物語が連続して、そこから全体を想像させる感じの形式なんですが、いったいその本筋というのがなんなのかよくわからんかった。ある意味では、黒沢清の映画の方に近いかもしれない。語り過ぎないゆえに想像の余地は広がるけど、できればもうすこしわかりたかった。何度か読み直せば見えてくるのかもしれないけど。ただ、全体像が見えなくても、なんとなく感傷的になる小説。

8月5日




ザ・ベスト・オブ・アスベスト

バイト先の警備室の壁。触るとパラパラこぼれるんですが…こぼれるんですがッ…!


こんばんは。地獄の警備員こと僕です。外は灼熱地獄、内は公害地獄。誘導棒を振ってたら、近所のガキンチョどもが「らいとせーばー…らいとせーばーだ…」と指差しているので、メイス・ウィンドウのつもりで構えてやったら、間髪いれずに「ダースベイダー!!」と叫んで逃げていきました。誰がベイダーか。誰が。

しかし、実のところですね、僕は『スターウォーズ』シリーズに関してはほとんど知識がないのですよ。さんざ映画のことを狂ったように語っていながらなんですが。ルーカスの仕事では、どちらかというと『インディ・ジョーンズ』シリーズに傾倒していたのでね、ぶっちゃけ『SW』方面はようわからんのですわ。たぶん旧三部作もテレビとかで観たことはあると思うんですが、記憶に残っているのは、みんながなんか万歳して喜んでいる場面と、主人公の仇敵であるベイダーがちんまりと戦闘機のコックピットに納まって、なんか攻撃を受けてクルクルクルクル回りながらすっ飛んでいくとこくらいだったりします。記憶が曖昧で申し訳ないんですが、「なんかこのわるいひとは敵の親玉なのにクルクルクルクルまわっとるなぁ」という朧げな感想を持ったくらいだったような。新三部作も、いちおうエピソード1をこれまたテレビで観た気はするのですがほとんど記憶になく、エピソード2に至ってはこの前ロケハンに行った帰り道で、車載テレビの酷い画質でSWファンのドライバーの悪口を聞きながらユアン・マクレガーがボールみたいなのにぶら下がってるとこまでしか観ていないという有様。なので、この前のシリーズ完結で熱狂するファンにも混じれずに、むしろメイキングかなんかで、ルーカスが現場で「台詞を間違えた?ポスト(プロダクション)で直すからいい!」とか「ヅラが無い?ポストで直すからいいんだって!!」と連呼していたことに驚愕したりしてました。それ、役者いらんがな!はぁ〜、まあ、なんというか、VFXという近代映画の基礎を創り出したのもルーカスなら、旧来型の映画という概念を破壊するのもルーカスなのかと。いい意味でも悪い意味でも。僕としては、現場で曇り空だったのが本番に入って一筋の光が差してきたり、といった偶然の作り出す面白さというものすらCG合成によって無くなっていくというのは、ちょっと悲しかったりもするわけですが。

8月3日

今月は働きます。ソヴィエトも真っ青の労働者を目指します。海も山も花火も浴衣も帰省も無しです。働かない日は撮影です。頑張ります。誰か僕にレーニン勲章を下さい。…まあ、働かなくてもイベント的な予定がないのは変わらんけどね!

最近のあれこれ。

30日。
『亡国のイージス』初日。新宿で福井オフ仲間のコージさんと恒例の初日鑑賞…と思いきや、今回は偶然にも青森から帰ってきた流浪の押し売り訪問販売員ことヤスハラも参加することに。彼には大学時代に原作本を買わせたはずなのに、いまだに読んでいなかった!野坂昭如を持って劇場に来るんじゃない!
で、映画のほうですが、さすがというか、今年公開された3本のうちでは一番本格映画らしく仕上がっていました。熟達した役者陣の演技も良かったし、最小限に抑えたVFXカットも悪くなかったし、本物の護衛艦を使った映像も迫力満点!…なのに、やはり全体的に見ると、2時間に納まりきらない物語の断片がギシギシと軋んでいる感は否めませんでした。個人的に残念なのは、原作で印象に残っている細かい部分が、劇中あまり上手い形で再構成されていないあたり。せめてあのラストシーンは残して欲しかったなあ。うーん、やはりどうあっても原作を越えられない部分というのはどうしてもありますね。それだけに、原作を忠実に映像化した部分ではテンションが上がりましたが。映画オリジナルで最も良かったのは、安藤政信扮する工作員、ドンチョル君でしょうか。『BRT』のときに痛切に感じたんですが、安藤政信はベイビーフェイスより悪役がすげえ似合います。なんというか、彼の眼には光がないんですね。漫画でいうところの、ベタで塗りつぶしたような無表情の眼がとても印象に残ります。あまり細かいことには触れませんが、ラスト近くの彼のアクションや末期はとても良かった!次いで良かったのが、内閣情報室長、瀬戸和馬役の岸部一徳。シリアス一辺倒のキャスト陣の中で、微妙に空気を緩和するユルい演技がなんとも。主に佐藤浩市扮するDAIS内事本部長、渥美との絡みのシーンが多いのですが、国防に関するハードな会話のあとに、あのなんともいえないテンションで発せられる「ハンカチ忘れた。貸してくれ」「あ、煙草切れた」といったなんでもない一言が、ずいぶん作品の中で緩衝材になってます。船務長役の吉田栄作や飛行士役の真木蔵人なんかも、渋い演技でとても良かった。全体的な構成の軋みというのは、やはり編集によるところが多いのかな。ひとつの芝居を複数のアングルで撮影するハリウッドと違って、基本的にどうつなげるかを念頭に置いて、必要なカットだけを撮影する日本式の撮影方法では、さすがのウィリアム・アンダーソンでも編集パターンがそれほど作り出せなかったという印象。まあ、それを抜きにしてもよく頑張ったと思いますが。しかし、あえて言う。僕にやらせてくれればもっと面白くなった。あ…すんませんちょっと言い過ぎましたすんません…。
この『亡国のイージス』で、今年度の福井晴敏の原作3作品が出揃ったわけですが、改めて強く感じられるのは、やはりハリウッドメジャー作品の完成度の高さですかね。これらでは原作の長さがよく引き合いに出されますが、実際ハリウッドの原作付き映画でも、そこそこの厚みを持った作品を原作の基本線を損なうことなくきちんと2時間弱の作品として成立させているわけですから。そういう意味では、同じ尺のカットでも詰め込まれる情報量、そしてその見せ方の巧さが根本的に一段違うことを痛感させられます。よくコケにされるジェリー・ブラッカイマーの映画なんかでも、作品としての完成度はハッキリ言って格段に上ですからね。なかなか馬鹿に出来たもんじゃないですよ。
ちなみに、予告編で流れていた『ライオンと魔女』がすげえ面白そうだった。もう読んだのが遥か昔だからよく覚えてないんですが、たしか主人公の一人がプリンに釣られて兄弟を裏切ったりとかしてたなあ。個人的には第4章の『銀の椅子』が一番好きだった記憶があるので、はやく映画化して欲しい。「白い魔女」役のティルダ・スウィントンは『コンスタンティン』でもガブリエル役で光ってたのでとても期待しています。
映画が終わった後、途中参加のあすかさんと共に4人で飲み、明日から宮崎へと発つヤスハラと翌日もお仕事のあすかさんと別れた後もさらに僕とコージさんは河岸を変えて飲み続け、結局帰宅したのは午前5時ごろ。さすがに疲れた。

31日。
前日の飲み会の最中に母親から電話。「明日の予定覚えてる?」と。やべー忘れてた!この日は母親が祖父母の介護も兼ねて上京して来るんだった!それでも徹夜で飲んで、結局起きたのは夕方。新宿で待ち合わせて、一緒にマイシティの飲み屋で飯を食いました。「電車大丈夫?」と聞いたところ、「何言ってんの、あんたの部屋に泊ってくって言ったでしょ」と。やべー忘れてた!!というわけで、映画のパンフレットとDVDとCDが散乱する部屋を無理苦理片付けて、お母様を招待。一人暮らしが長いと、突然の訪問者には本当に参りますね。カナブンにきゅうりをあげながら話しかけてたら、「そんなんだから彼女が出来ないのだ」と一刀両断されました。くぅっ…!!。

1日。
朝、母親を駅まで送って、そのままバイト。

2日。
バイト。一日の最後の最後で、奇怪な体験が。歩行者通行禁止の出入り口で立哨してたんですが、突然、薄暗い通路を小走りに駆けてくる人影が。通行人かと思って追い返そうとしたんですが、なんか妙な感じで。なんというか、ムッシュかまやつを白髪にしてくしゃっとさせた感じの老人だったんですが、紺のランニングに同じ色の短パン、腕には金時計、そして裸足…。それが薄暗い電灯の下を体をかがめて走ってくる!すげえ怖い!もうね、軽くパニックになりましたよ。最初のうちは普通に制止してたんですが、なんかもう言葉が通じてるんだか通じてないんだか…。突然バッと振り返ったり、出庫する客の車にふらふら近づいていったり。風体は奇怪なんですが、小奇麗で浮浪者という感じでもないし。これは…これが噂の徘徊老人という奴なのか!?混乱したまま無線を入れている間に、老人はふらふらと小走りに走って行ってしまいまして、結局なんだったのかよくわかりませんでしたが。妖怪大戦争?ああ…もうやだなあ…。

という感じで、なんとか生きてます。まあね、これからの一ヶ月、日記を書くことくらいしかすることがないので、多少更新状況も元に戻るかと。戻るといいなあ。